ケース5
親が離婚・再婚している

 もし、あなたの親が離婚あるいは再婚をしていて、あなたが「連れ子」の場合、要注意です。というのは、あなたと親の再婚後の配偶者との間で養子縁組をしていないと、戸籍上のつながりがないため、あなたは親の再婚後の配偶者の相続人になれないからです。

 よくありがちなのは、再婚時に、父が母の連れ子と養子縁組するのに、母は父の連れ子と養子縁組しないケースです。この場合、父が亡くなると母が財産の半分を相続するのですが、母が亡くなったときに父の子は相続人になれません。

 また、親が亡くなった後に、これまで顔も見たこともない異母兄弟、異父兄弟(これらを半血兄弟と言います)が現れて、「私たちにも遺産を相続する権利がある」と主張してくることも十分あり得ます。こうなると、遺産分割協議は間違いなく難航します。さらに、あなたの親が離婚・再婚を何度か繰り返していると、家族関係が複雑になり、したがって相続関係も複雑になり、親の死後、揉めごとが起きやすくなります。

 こういう場合の揉めごとを未然に防ぐためにも、複雑な家族関係を考慮した遺産分割方法を記載した遺言書が重要になります。

ケース6
親に内縁の妻・夫がいる

 もし、あなたの親に内縁の妻・夫がいる場合は要注意です。日本では内縁の妻・夫は互いの相続人にはなれません。

 ところが、降旗康男監督の「遺産相続」という映画に出てくる内縁の妻・喜久恵のように、長年内縁の夫と同居し、事業拡大・財産形成にも多大な貢献をしてきた場合、相続権を主張して訴えを起こそうとする場合があります。このような場合、相続人であるあなた(内縁の夫の子)と敵対関係となり、揉めごとに巻き込まれる可能性が大です。

 また、内縁配偶者が亡き親と同居していた場合に、相続人(あなたか、あなた以外の人)が、内縁配偶者に対して住んでいる家からの退去を迫ることもあります。このような揉めごとを避けるためには、遺言書に内縁配偶者への配慮を記載するべきです。