1F事故直後から、情報を共有する体制の不備や本社と現場の連携の悪さは問題視されてきたことだ。事故から6年たった今も、東電には依然として悪弊が残っていることが明らかになってしまった。

 廣瀬社長は「原子力を扱う資格があるかないかではなく、常に努力を続ける」と決意を表明したが、その言葉も空虚に響く。

遠のく再稼働

 今回の失態は、東電の運命を大きく左右する可能性すらある。

 16年12月、東電の改革の方向性を議論する「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)で、柏崎刈羽原発の再稼働は1F廃炉や除染、賠償のコストを稼ぐために重要だと位置付けられた。

 ところが、今回の失態で立地自治体である新潟県からの信頼も地に落ち、原発再稼働は遠のく可能性が高い。再稼働の見込みが立たない事態が続けば、東電委員会でも議論された、東電の原子力事業を分離し、他の電力会社と共同で再稼働を目指すという案が現実味を帯びることも考えられる。

 柏崎刈羽原発の現場だけでなく、信頼回復に向けて汗を流す全ての現場社員の努力が水泡に帰す恐れがあることを、経営陣を含め、本社はあらためて肝に銘じるべきだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)