Bunkamura通りと公園通り。その名が示すとおり、渋谷の賑わいの原型は東急とセゾンによって作られた。両社とも文化戦略を重視する企業だが、咲いた花がチーマー、ガングロ、ギャル男にヤマンバだったなら、皮肉にもならない。

 いや若者たちは、コマーシャリズムが用意した舞台の上で、無邪気に踊っているだけなのだろう。与えられるのではなく、自分たちで舞台を作る。そこにこそ商店街の出番がある。

ギャルとギャル男のまち、渋谷
実は他区を圧する衣料品店の集積地

 渋谷区ほど、業種構成が偏っている区も珍しい。衣料品専門店は、店舗数、販売額、売場面積のいずれもが23区のトップ。ただの1位ではない。店舗数は2位の世田谷区の1.6倍、販売額は2位の新宿区の1.8倍、売場面積は2位の中央区の1.7倍。圧勝である。

渋谷区の商店街――ギャルが舞い踊る文化の中心地を支え続けた「等身大の街づくり」

 かたや食料品専門店は、店舗数20位、販売額17位、売場面積22位。衣料品専門店の数は食料品専門店の3倍、販売額は何と6倍以上。この割合をランキングにすると、2位は共に新宿区で、それぞれ1.3倍と2.3倍。渋谷区の足もとにも及ばない。

 専門店だけではなく、専門スーパーも同様だ。衣料品スーパーの店舗数は3位、販売額と売場面積は2位。対する食品スーパーは、せいぜい15~18位止まりである。

 業種別に見ても、「23区一」がズラリと並ぶ。男子服、婦人服、子供服、靴、洋品雑貨の店舗数はいずれも1位。男子服と婦人服は、販売額も売場面積も1位である。靴も、売場面積こそ中央区にわずかに届かず2位ながら、販売額では1位だ。他区を圧する衣料品店の大集積。「ファッションの渋谷は伊達じゃない」とデータが語っている。

「衣」「食」と来たから次は「住」を見よう。日用品にはさほど目立った集積のない渋谷区だが、ホビー&カルチャーの分野では再びトップランクの目白押しとなる。