当社の社員だった方(ほう)は、中国出身の女性です。
 彼女は非常に早い段階で幹部になり、次長として将来を嘱望される人材でした(2012年に夫と息子とともに帰化)。

 私やほかの社員と一緒に中国へ出張し、蘇州でご両親とも会食したのですが、帰国直後に膵臓ガンが見つかり、余命2ヵ月の宣告を受けてしまいます。

 すぐに在宅勤務に切り替え、「療養することがあなたの仕事だ」と伝え、欠勤にはせず給料を払い続けました。

 しかし、とても残念なことに、方は宣告されたどおりに、2ヵ月間の闘病後、2016年、42歳の若さで亡くなりました。

 彼女には、8歳の息子(Yくん)がいるのですが、現在、大阪支店では、週に一度、Yくんを預かっています。

 学校が終わってから父親が迎えにくるまでの間、Yくんは、母親が使っていたデスクに座って自習をしています。社員が算数を教えることもあります。

 病気で働けなくなった社員に給料を支払っているのも、亡くなった社員の子の面倒を見続けているのも、日本レーザーが、

「社員を主語にする会社」=「人を大切にする会社」

 だからです。

 社員の中に、「何があっても、どんな状況に陥っても、この会社は自分と家族を守ってくれる」という実感があるからこそ、安心して力を発揮できる。私はそう思っています。