「お金の時間価値」とは

 次は、現在価値についてご説明しましょう。

 年利10%とすると、今日の100万円は、1年後には将来価値110万円になっています。

 そう考えると、今日の100万円の方が1年後の100万円よりも10万円価値が大きいことになります。この差を「お金の時間価値」といいます。

 キャッシュを受け取る場合は、できるだけ早く受け取ったほうがその分、利息を稼げるからお得なのです。

 一方で、キャッシュを支払う場合は、できるだけ遅くした方がお得というわけです。

 このようにお金には時間価値があることから、時間軸が異なるキャッシュを比較する場合は、時間の価値を調整してやる必要があります。

 将来のキャッシュが、現在のいくらに相当するかを計算するためには、利率で割り算することで計算することができます。

 先ほどの例でいえば、今の100万円に1・1(=1+10%)をかけて、1年後の将来価値は、110万円と計算することができました。1年後の110万円の現在の価値を求めるには、この計算の逆を行うわけです。

 つまり、110万円を1・1(=1+10%)で割り算することによって、現在価値100万円と計算するのです。

 あなたが行ったこの計算プロセスを「1年後のキャッシュを割引率10%で現在価値に割り引く」といいます。