3月21日、中国本土企業の香港上場株(H株)は、今年に入ってからの値上がり率が世界で最も高く、米S&P総合500種も圧倒している。香港証券取引所で2013年11月撮影(2017年 ロイター/Bobby Yip)

[シンガポール 21日 ロイター] - 中国本土企業の香港上場株(H株)は、今年に入ってからの値上がり率が世界で最も高く、米S&P総合500種も圧倒している。これまで外国ファンドの独擅場に近かったH株市場に、中国本土投資家の資金が活発に流入していることが背景にある。

 中国本土投資家がH株の購入を膨らませている理由の1つは、上海や深センで取引されている本土企業株(A株)に対する大幅な割安感だ。また人民元のさらなる下落へのヘッジという側面も見逃せない。大半のH株は香港ドル建てで、香港ドルは米ドルと値動きが連動する。

 年初来の上昇率を比べると、ハンセン中国企業株指数(H株指数)はおよそ13%、ナスダック総合指数は11%強、S&P総合500種は6%となっている。

 A株のH株に対する価格プレミアムは、H株上昇に伴って足元では2014年12月以降の最低水準まで縮小した。それでも投資家の話では、H株を買って利益が得られるという。

 アバディーン・アセット・マネジメント(香港)の中国/香港株責任者、ニコラス・イェオ氏によると、2015年半ばの急落の記憶が残るA株に対する本土投資家の姿勢はなお慎重で、A株市場では個人投資家の参加が減っている。半面、H株に目を向ける機関投資家が入れ替わりで登場しつつあるという。

 本土投資家にとってH株の割安感は見過ごせない魅力がある。このため1月と2月に中国本土と香港の株式相互接続取引を利用してH株に流入した資金は71億9000万ドルと、外国人のA株投資額を約40%上回った。

 上海総合指数は年初来で4.2%しか上昇していない。

 H株については、昨年終盤のドル高を受けて投資を縮小していた外国人の資金も戻ってきている。世界的な景気拡大期待や中国経済が安定感を強めているためだ。

 こうした本土投資家と外国人の買いが相まって、A株のH株に対するプレミアムは1年前の約35%から14%に縮まった。

 本土投資家は主に高配当を目当てにH株の金融セクターに資金を振り向けている。日興アセットマネジメント(シンガポール)のシニア・ポートフォリオマネジャー、タン・エング・テック氏は「プレミアム縮小の背後には金融株の大きな値動きがある」と指摘。ただしその他のセクターにはまだそれなりのプレミアムが残っているとの見方を示した。

 またタン氏によると、H株の株価収益率(PER)は8.3倍、A株は12.9倍という点からも、投資家は依然としてH株に注目するはずだという。

 タン氏は「最終的にA株はH株の水準に落ち着くだろう。だからA株の買いは望ましくない」と話した。

(Nichola Saminather記者)