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中高年が子ども向け商品にまで群がるのはなぜ?
“懐かしさ”と“大人の付加価値”の絶妙なマッチング

大来 俊
2011年5月13日
著者・コラム紹介バックナンバー

 近年、流行語や商品名で「大人」という言葉を頻繁に目にするようになった。流行語で言えば、すっかり定着した「大人買い」。漫画全巻やドラマDVD全巻に留まらず、今や何でもまとめて買うことを、比喩的に表す言葉となっている。

 また「大人かわいい」も、30代、40代がミニスカートなど可愛い系の服を着るときのファッション用語として、幅を利かせている。いずれもプラスイメージとして使われていることがポイントだ。

 商品名でも、「大人」という言葉が持つポジティブな力にあやかろうと、こういった言葉を使うケースが増えている。もちろん、従来から「大人」を全面に出す商品はあった。

 JR東日本の50代以上が対象の会員組織「大人の休日倶楽部」や、情報誌「日経おとなのOFF」、菓子ではロッテの「大人のトッポ」などだ。それらは「大人」に上質感やリッチといった意味を持たせていた、いわば「贅沢型」の使用例と言えるだろう。

 一方で、昨今の「大人」がらみの商品は、「懐かしさ」に焦点を当てた、子ども向け商品の“大人化”が特徴である。たとえば、昨年4月に発売され、近々リニューアルが予定されている「大人のキリンレモン」や、今年4月に発売された「大人の健康カルピス」。キリンレモンやカルピスは、いずれも多くの人が子どもの頃に飲んでいた思い出の飲み物だ。

 あるいは、昭文社が「大人も楽しめるおすすめ工場見学スポットを一挙紹介したガイドブック」としてまとめたムック本『工場見学』。今年1月に発売された首都圏版は20万部超のベストセラーとなった。その勢いに乗り、4月20日には京阪神版と東海・北陸版を同時に出版した。工場見学は小学校の懐かしい行事として思い出す人も多いだろう。これらは、言ってみれば「懐古型」の使用例である。

 しかし、単に懐かしいだけでは消費者の手は伸びない。売れるためには、大人ならではの付加価値が必要だ。

 仕掛ける側も、そこをしっかりと計算している。「大人のキリンレモン」には、肝臓の働きを助ける「オルニチン」が配合され、「大人の健康カルピス」には、健康成分であるカルシウムやグルコサミンが添加されている。また、『工場見学』は大人向けに、試飲可能なビール工場や工場夜景クルーズ情報などを充実させている。

 つまり、まず懐かしさで購買欲を刺激し、さらに付加価値によって買う理由付けを与える、言わば「感性」と「理性」の二段構えで消費を後押ししているのである。

 振り返れば、任天堂の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」や学研の「大人の科学マガジン」など、今までも「子ども向け商品の大人化」でヒットを飛ばした例はある。既存の製品やサービスを新たなターゲットに売り込む手法として、今後も注目されていくことだろう。

(大来 俊)


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