[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米国株は今週、トランプ米大統領の医療改革や経済政策の実施が遅れるとの見方から、数カ月ぶりの大幅な下落に見舞われる場面があった。しかしオプショントレーダーはここ数年、ヘッジを掛けては無駄に終わる経験を繰り返して「ヘッジ疲れ」しており、今回は状況を静観している。

今週は医療保険制度改革法案(オバマケア)代替案の審議難航が懸念され、S&P総合500種<.SPX>が21日に1%以上下落した。

しかしこのところ、ボラティリティは急上昇してもすぐに鎮静化する傾向が強まっており、オプションを使ったヘッジはコストに見合わなくなっている。このため投資家は相場が1日大きく動いたぐらいでは腰を上げない、と専門家は指摘する。

21日の株価急落で、安全資産とされる金<XAU=>や円<JPY=>は買われたかもしれないが、オプションを使ったヘッジは増えなかった。

MKMパートナーズのデリバティブ・ストラテジスト、ジム・ストラガー氏は「投資家は過去数年間、ボラティリティが概ね抑制されている状況に慣れてしまった。すこし相場が下がるとすぐに買い戻され、あっと言う間に最高値を更新する」と述べた。

減税など、トランプ大統領が約束した他の政策でも審議が難航し、株価が今後下落する恐れはあるが、オプショントレーダーは慌ててヘッジを掛けようとはしていない。

BMOキャピタル・マーケッツの株式デリバティブ・ディレクター、アレックス・コソグリヤドフ氏は「パニックの兆しはあまり見られない」と言う。

21日はコール(買う権利)よりもプット(売る権利)の売買の方がわずかに優勢だったが、その後はコールが増えている。23日は米東部時間午後1時までの時点でコール・オプションの出来高が410万枚、プットが400万枚となった。

投資家はこのところ、せっかくオプション料を払って株価変動へのヘッジを掛けても活用されず、コストが投資リターンに食い込む経験をしてきた。

「あなたはヘッジファンドなのに、過去7年間ヘッジの費用を払わない分あなたの祖母の方が運用成績が良かったとしたら、そろそろ祖母を見習う決意をしなければならない」とストラガー氏は話した。

(Saqib Iqbal Ahmed記者)