これを「売るぞ」って決めて
実際に売れた本

――これまでで一番印象に残っている本は何ですか?

水上 それはもう『もしドラ』です。

――恐れ入ります(笑)。

水上 営業の方がこの本を案内に来てくれたときから、「売るぞ!」って決めていました。それで最初から大々的に展開しました。こうやって「売るぞ!」と思っても売れないことも多いんです(笑)。でも『もしドラ』は、気持ちと結果が一致しましたので、すごく嬉しかったです。

 最初は否定的な書店さんも多かったと聞きましたが、それなら当店で売っちゃえって。売れたら面白いだろうなって思いました。

――どういうところで、いけそうだと思っていただけたんでしょうか。

水上 最初に案内してもったときは、表紙や書名のイメージを、大まかに教えてもらった記憶があります。

 このお店はアニメとかコミックが売れる土地柄なんで、ビジネス書でもこうやって見せる本は売れるんじゃないかと思いました。

 『もしドラ』が出る前に、ああいうイラストが入ったビジネス書がありました。『女子高生ちえの社長日記』というプレジデント社さんから出ている本です。その本が当店で売れていたのもあって、これは面白いと思いました。

 それとその頃、ストーリー仕立ての本って好まれるじゃないかって思っていたんです。以前の『ザ・ゴール』や『ザ・ファシリテーター』なんかが、タイトルに物語を謳っていなくてもよく売れたんです。専門的な内容をストーリーで書いてくれると、私自身もとても読みやすかったですし、手が出しにくいと思っていたお客様も読んでみようと思ってくれるんじゃないか、と。私自身の実感で、ストーリー仕立ての本は、オススメしやすい本なんです。こういう本が読めると、次に本格的な本を読んでみようという自信になるじゃないですか。

 アニメ調で、ストーリー仕立て。しかも題材はドラッカーです。これまでこういう本は一冊もなかったんです。だから、これは「売るぞ」になりました。