クラウド通信のソリューションを提供するTwilio(トゥイリオ)は、すべての新入社員にプログラミングの基礎を教えている。それは、顧客志向という文化を制度化し、血肉化するための手段であるという。


 私が勤務するクラウド通信プラットフォーム企業、Twilio(トゥイリオ)の創業者たちは、創業初期に自社の最優先事項を「顧客への共感」と定めた。もちろん、これは特別珍しいものではない。しかし、開発者が開発者のためにつくった会社として、我々初期の社員の全員が、顧客と頻繁に話す仕事を担った。

 創業間もない頃は、小さなオフィスで、起きているすべての物事を全社員が把握していた。そして会社が成長していっても、顧客への共感をしっかり根づかせたいと我々は考えていた。

 そのために、新入社員に対する1つの通過儀礼を考案した。そして、当社は小さなスタートアップから社員数650人を超える上場企業にまで規模を拡大してきたが、この通過儀礼こそ、顧客への共感を中軸とする文化を維持できるカギだと思っている。

 Twilioのプラットフォームは、さまざまな機能を可能にする。ウーバーのドライバーに利用者が居場所を知らせるシステム、エアビーアンドビーのホストと利用者によるテキストメッセージのやり取り、クラウドストレージのBOXにログインするための2段階認証コード、等々だ。

 Twilioの社員は誰もが、消費者としてならば、こうした日常の体験をよく知っている。だが技術系の人でない場合、それらを実現するアプリをつくるのに何が必要かについては、ほとんど知識がないだろう。これは望ましいことではない。Twilioで働く人間ならば、Twilioをどう使うか知っているべきだ。さもなければ、顧客に製品をどうマーケティングし、販売し、説明できるだろうか。