日々の記録から名言、読書メモまで
すべてのメモを手帳に一元化する

奥野:メモは、具体的にどのようにされているのでしょうか? 本の中では僕と同じで1冊の手帳に時系列で書かれているということでしたが……。

佐々木:そう、手帳にメモしています。思いついたことや日々の記録をどんどん書いていくんですね。手帳のスケジュール欄のあとにメモのページがありますが、ここに書いていきます。

 例えば……(パラパラとめくって)、「2008年日本の10大ニュース」「世界の10大ニュース」なんていうのも書いていますね。

奥野:10大ニュース! 私もまったく同じことをやっているので、びっくりしました(笑)。『知的生産ワークアウト』という本に書きましたが、自分の10大ニュースも作って、年末になると一年のとりまとめと来年の目標を立てるんです。

佐々木:そうなんですね(笑)。この年の手帳には、官公庁の審議会の委員をやっていたものだから、旅行の消費額とかも書いていますね。だいたい時系列に書いています。

 それから、気に入った言葉も書いていますね。「天の時、地の利、人の和」とか、「正面の理、側面の情、背面の恐怖」とかね。

 俳句も書いてありますね。「のどけさや 願うことなき 初詣」。これは、85歳のおばあちゃんが書いた句で、もう90歳に近いものだから、願うこともないほどのどかという状態ですね。きっと、そのときにグッときた俳句ですね。

 「企業の盛衰は人が制し、人こそ企業の未来を開く」。これは私が働いていた東レの研修センターの前に貼ってある記念碑の言葉ですね。

佐々木常夫×奥野宣之 記録のカリスマ対談【前編】<br />書くと問題が見える!頭に落ちる!<br />手帳・ノートで人生をマネジメントするということ佐々木さんの手帳。仕事とプライベートの記述だけでなく、気になった名言、俳句、映画の感想まで時系列で書かれている。

奥野:本だけに限らず、いろんなところで気になった言葉をメモしているんですね。

佐々木:そうですね。本の引用もありますよ。(手帳を見ながら)これは先ほどの『散るぞ悲しき』を読んだ時のメモですね。「国のため重き勤めを果たし得で、矢弾尽き果て散るぞかなしき」って。これはこの頃暗記してたんですよ。

 観た映画のこととか、ジョンソン・エンド・ジョンソンのタイレノール事件のことなんかも書いていますね。とにかく何でも書くんです。仕事のメモは前から書いて、それ以外のメモは後ろから書いていく。ずっと書き続けていくと、最後にぶつかるという感じですね。これを通勤中の電車の中で開いて、片っ端から暗記していくわけです。