節目に手帳と向き合い
「自分の棚卸し」をする

佐々木:みんな気がつかないですね。私は節目節目に「棚卸し」をしようと言っているんですよ。「自分の棚卸し」ですね。会社に入る時や学校を卒業した時、あるいは30歳になった時、40歳になった時、職場が変った時などの節目に自分を見つめ直して、自分が今いるポジションを確認するということをやってみようと、いつも部下には言ってるんですよ。

 誰もが振り返ったりするんだけど、人間は連続性の中に生きてるから、みんな振り返り方がいい加減ですね。でも、自分はどこまで来たか、自分は何者であるか、何をしたいのか、自分は何になりたいのかということを考えるのは極めて重要ですよ。自分の立ち位置を確認するには、昔の手帳や日記を見返してみることがやっぱり有効ですね。

佐々木常夫×奥野宣之 記録のカリスマ対談【後編】<br />成長へのエンジンとなる記録の力<br />自分の棚卸しで立ち位置が見えてくる!奥野宣之・著『人生は1冊のノートにまとめなさい』(ダイヤモンド社)。人生を1冊のノートに記録する効果と、その方法についてまとめた1冊。

奥野:佐々木さんは、これまで6度も転勤をされていて、節目もいっぱいあったと思うんですが、手帳を読み返したりされたんでしょうか?

佐々木:転勤は大きな節目だからね。手帳と向き合って、その職場に着任すると、そこで何をやるかを2カ月以内に決めちゃうんです。簡単なことなのに、みんな手帳を見返すということはやらないですね。

奥野:普通の人より目標設定の見直しの機会は多かったんですね。そうした記録がすべて残っていたら、また次の目標設定に生かせるし、強力な成長のエンジンになりますね。他にも手帳の使い方で工夫されていることってありますでしょうか。

佐々木:例えば、年末になると、新年に使う手帳にお気に入りのフレーズなどを書き写したりしますが、そこで書き写すものと、書き写さないものを区別するということがありますね。

 書き写さないものは、もう暗記してしまったとか、もう重要な言葉に感じないといった理由で不要になるわけです。今の自分のフィルターを通して選別することによって、成長を実感するという効果があるんです。