コストリーダーシップ戦略と
差別化戦略の大きな違い

①コストリーダーシップ戦略は、業界全体を対象にして、低コストを最大の武器として業界の主導権を握る戦略です。

②差別化戦略は、業界全体を対象にして、他の企業が持たない特徴を生かし、業界内で特異な地位を占める、という戦略です。

③集中戦略は、特定の地域や特定の消費者など、特定のセグメントに資源を集中した上で、コストリーダーシップか差別化を推進する戦略です。

 マクドナルドとモスバーガーは、マクドナルドが①コストリーダーシップ戦略、モスバーガーが②差別化戦略を取っています。両社は業界内のライバルでありながら、別々の戦略を実行し、お互いに高い収益性を誇っています。

 両社の戦略の違いを詳しくみてみましょう。先ほどハンバーガー類の商品数がマクドナルドが14種類、モスバーガーが31種類とお話ししました。

 マクドナルドはハンバーガーの種類が少ないですが、種類が少ないということは、コスト的にはどうでしょうか。コストを抑える要因になります。材料の種類も少なくて済みますし、ハンバーガーを作る作業、オペレーションもいく分、楽になります。ですからコストを抑える要因になっていて、ハンバーガーを安く提供できています。

 一方のモスバーガーは種類が多いので、コスト的には高くならざるを得ませんが、その代わり、豊富なメニューを取り揃えて、消費者の多様な好みに応えることができます。

 ここで注意していただきたいのは、コストリーダーシップ戦略で品質をまったく無視していいわけではない、差別化戦略でコストをまったく無視していいわけではない、ということです。当然ですが、いくら100円といっても、そこそこ美味しくなければいけませんし、いくら美味しくて種類がたくさんあっても、ハンバーガーが何千円もしては、やっぱりなかなか買いづらいものです。