[ロンドン 28日 ロイター] - 大手銀行は、英国の欧州連合(EU)離脱でポンド相場が激しく変動しそうだと警鐘を鳴らしている。しかし通貨オプション市場の動きから企業の間ではこうした警戒感はむしろ薄れていることが読み取れる。

主要行が示すポンド/ドルの予想は1ポンド=1.06からほぼ1.50ドルと幅があり、足元の1.25ドルから上下にそれぞれ20%の変動率となっている。

一方、オプション市場では、ポンドが1.20ドルを割り込むと利益が生まれ始めるプット・オプションのコストが28日に4.8%と、2015年末の水準に戻った。こうしたオプションは売上高や金融投資をポンド下落から守りたい企業が利用している。

英国のメイ首相はEU離脱文書を29日にEUに提出する。ロンドンの為替ブローカーによると、ポンドが1980年代半ば以来の水準に下落し、企業や一般的な英国市民のポンドへの懸念は記憶の範囲内では最も強まっているという。

ロンドンの金融街カナリーワーフではドルとユーロの需要が高まり、28日には一部の両替所で両通貨が売り切れた。

企業や一般消費者向けに外貨交換サービスを提供しているマネーコープの最高経営責任者(CEO)のマーク・ホーガン氏は「昨日は1日の平均取り扱いが50%ほど増えた」と述べた。スペインに住宅を買おうとしている顧客は、その価格の半分相当を引き出して今のレートで固定しようとしているという。

調査会社イースト・アンド・パートナーズによると、中小企業による為替ヘッジ商品の利用は、英国がEU離脱の是非を問う国民投票を実施した昨年6月以降に約60%増えた。

しかし法人顧客のポンド急落への懸念は昨年より後退している。

マネーコープのホーガン氏は「ブレグジット(英国のEU離脱)は織り込み済みで、企業の多くは離脱を理解し、適切な計画を立てているという感触がある」と話した。

その上で「私にとっては交渉の初期段階で急に離脱が進むのが大きなリスクだ。そうなるとポンドにとって長くつらい夏になる」とした。

ロンドンに拠点を置くヘッジファンド、マクロ・カレンシー・グループのポートフォリオマネジャー、マーク・ファリントン氏は、ポンド安が進んだのは政府やイングランド銀行(英中央銀行)などが過剰にリスクを喧伝しためだと指摘。1ポンド=1.20ドル近辺という数字は人為的に作られたものだとした。

(Patrick Graham記者)