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SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術
【第6回】 2017年4月4日
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ショーン・スティーブンソン(著),花塚 恵(訳)

寝室は「少し寒い」室温が最も眠りやすい

全米で話題沸騰中の21の睡眠メソッドを集約した、『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』。本連載では同書の中心的なメソッドを紹介していきます。食事、ベッド、寝る姿勢、パジャマ――。どんな疲れも超回復し、脳のパフォーマンスを最大化する「睡眠の技術」に注目です!

睡眠に最適な室温は15~20度

 「体温調節」は、睡眠のサイクルを大きく左右する。体温は一定していると思っている人は多いが、実際はそうではない。私たちの体温は、一日のうちに2度近く上下する。身体を休める時間がくると、眠りにつきやすくするために、自動的に身体の深部の温度が下がる。

ただし、部屋の温度が高すぎると、ゆっくりと眠れる理想の状態に身体を整えることが少々難しくなる。調査によると、睡眠に最適な室温は15.5度~20度とかなり涼しい。これより高すぎたり低すぎたりすると、睡眠を阻害する可能性がある。

この発見からさらに研究が進み、不眠症の人は寝る直前の体温が通常より高くなる傾向にあることが明らかになった。ピッツバーグ大学メディカル・スクールの研究者たちはこの問題に立ち向かうべく、不眠症の人々の体温を下げる方法を探し、その方法が睡眠の質全体に影響するかどうかを確かめることにした。

彼らは、冷たい水が循環する「冷やす帽子」を被験者にかぶせて寝てもらう実験を行った。その結果はかなり意外なものだった。冷やす帽子をかぶって寝た不眠症の被験者は、不眠症でない被験者以上に寝つきが早くなったのだ。帽子をかぶった不眠症の被験者が約13分で寝ついたのに対し、睡眠トラブルを抱えていないグループは16分かかった。

それだけではない。不眠症グループは、ベッドにいる時間の89パーセント眠ることができた。この数字は睡眠トラブルのないグループとまったく同じだ。この実験では不眠症グループの75パーセントの睡眠が改善し、体温を下げることで睡眠は改善されると実証された。不眠の治療や処置はさまざまあるが、これほど効果の高いものはほとんどない。

適切な体温調整にはストレス管理がかかせない

夜に体温が通常より高くなると、強い覚醒状態となり、身体が体内の温度調節器をリセットしようとしてなかなか寝つけない。体内の温度調節器とは、そもそもどこにあるのか? その設定を変えることは現実的に可能なのか?

体内の温度調節器を知るにはまず、ホルモン分泌系の要である視床下部がキーポイントになる。視床下部は、神経系(体内と体外の温度を感知する)と内分泌系(睡眠を誘発するホルモンや覚醒を促すホルモンを分泌する)の機能を統合する存在だ。細胞をバスケットボールチームとするなら、視床下部はチームのコーチだと思えばいい。

コーチの待遇がよければ(栄養と言う名の報酬をたっぷり与え、コーチとしての務めをしっかりと果たさせ、過剰にストレスを与えなければ)、プレーヤー全員をきちんと管理し、最高の結果を導きだしてくれるだろう。視床下部はまさに、NBAで「ゼン・マスター」の異名をもつ名将フィル・ジャクソンだ。リーグ最多の優勝回数を誇る彼なら、ストレスを利点のように扱い、彼の「手足」たるプレーヤーの力を最大限に発揮させる。

反対に、コーチにろくに栄養も与えず、コーチの務めではないことでこき使い、満足な支援を与えなければ、チーム内で誤解が生じ、あっというまにすべてが崩壊する。だから、脳の働きを健全に保ち、その働きをサポートすることが大切なのだ。

視床下部は、HPA軸と呼ばれる非常に重要な反応系列の一部を担う。HPAは頭から、視床下部、下垂体、副腎系を意味し、通常のホルモンの働きや性機能を制御するほか、体重の管理なども行う。だがここで強調したいのは、ストレスにいちばん反応する系列だという点だ。

脅威を認識した身体がそれに抗おうとすると、ストレスが身体を刺激し、体温の上昇を招くため、期せずして眠りにつきにくくなる。ストレス社会のいま、ストレス対策は絶対に必要だ。

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