5月初めには、東日本大震災からの復旧を内容とする第1次補正予算が成立した。予算規模は4兆円で、既存の組み替えで財源を確保。ただ、これから本格的復興へ向かうに際して、必要な資金量はさらに大きくなることは必至で、復興構想会議は増税を求める姿勢を強めているといわれる。復興にはどれほどの資金が必要なのか、また、その資金はどのような原則で調達されるべきなのか。大和総研の武藤敏郎理事長に聞いた。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン客員論説委員 原 英次郎)

復興のための所要資金は
原発の行方次第では30兆円越えも

――復興財源を考えるにあたっては、それと表裏の関係にある復興事業の内容と、必要な資金の規模が重要です。現時点では、復興に必要な資金の規模はどのくらいになると推測していますか。

復興資金の調達は<br />財政状況を悪化させないことが基本<br />膨大な民の金融資産活用も図るべし<br />――大和総研 武藤敏郎理事長に聞くむとう としろう/1943年生まれ、66年東京大法学部卒、大蔵省入省、90年大臣官房秘書課長、99年主計局長、2000年大蔵事務次官、01年財務事務次官、03年財務省辞職。03年3月日本銀行副総裁、08年3月退任、同年7月から現職

 復興の内容と復興資金の量は関係があるといえますが、まず金額ありきの議論をするのは、適当でないというのが前提です。

 復興に当たっては、第1段階として当面の復旧事業があり、第2段階として、しっかりした国家観を基に中長期の視点に立った復興があると考えています。第1段階では、がれきの処理、仮設住宅の建設など被災者の救済に直接関連するものに加え、水道、電気、ガスなどのライフライン、道路、橋、港湾など社会インフラを元に復さないといけない。

 第2段階になると、単に元の姿に戻すのではなく、東北地方の新たな発展の核になる事業をいかに組み込んでいくかが重要になります。その場合は、地域住民主体による復興というのが基本になります。