「備える」みずほ情報総研の主席研究員 藤森克彦さんの話

30~40代男性の4人に1人が
20年後「独り暮らし」に

「20年後の2030年、今の30~40代男性が50~60代になったとき、4人に1人が“独り暮らし”をしている可能性が高い」

藤森克彦さん みずほ情報総研主席研究員。国際基督教大学大学院行政学研究科修了。2008年2月まで日本福祉大学大学院社会福祉学研究科・非常勤講師。著書に「単身急増社会の衝撃」(日本経済新聞社)など

 国の将来推計に基づいて、こんなショッキングな指摘をしているのが、みずほ情報総研の主席研究員、藤森克彦さんだ。

 独り暮らしといえば、“夫と死に別れた高齢女性”のイメージがあるが、「今後は中高年男性でも独り暮らしが増えていく」と話す。

 2005年現在、50代男性に占める単身世帯の割合は13%。1985年の5%から大きく上昇した。この傾向が続けば、2030年になると、50代男性(現在の30代)の23%、60代男性(現在の40代)の25%が単身世帯になる見込みだという。

 なぜ中高年男性の一人暮らしが増えていくのだろう。

「中高年男性で単身世帯が増えていく主な理由は、未婚者が増加していること。例えば50歳男女の未婚者の割合を見ると、1980年には男性3%、女性4%にすぎませんでした。ところが、2005年には男性16%、女性7%と急増。50歳男性の6人に1人が未婚者になっています。

 この傾向が続くと、2030年には50歳の未婚者の割合は、男性が29%、女性が23%になるとみられています。90年代以降、結婚や世帯形成のありかたは、私たちが想像する以上に変化しているのです」

 男性の未婚率が女性を上回る要因のひとつは、医学の進歩。もともと出生数の多い男性乳幼児の死亡率が低下したため、結婚適齢期の男性の数が女性より多くなった。実際、2005年の20~34歳人口を見ると、男性の方が38万8000人も多い。

「男余り」と「非正規社員急増」で
“結婚難時代”が到来

 このほか、藤森さんは次のような問題も挙げる。

「もちろん、価値観やライフスタイルの変化、お見合いや社内結婚が減ったことも大きい。しかし、最大の要因のひとつは女性側の変化でしょうね。働いて収入を得られるようになり、結婚を急がなくていい人が増えた。

 興味深いのが、厚生労働省が2005年に行った調査です。これによると、20~30代未婚女性の8割以上が『いずれ結婚するつもり』と回答しています。ところが、独身でいる理由の第1位は、『適当な相手にまだめぐり会わない』となっている。

 別の言い方をすれば、多くの未婚女性が、いい相手が出てくるまで待てるようになった、ということ。かつては夫の収入に依存する女性が多かったので、結婚が生活の安定に結びつく面があった。しかし女性の経済力が向上した今、あわてて結婚する必要がなくなっているのです」