[東京 3日 ロイター] - 1日付で全国銀行協会長に就任した三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は、ロイターとのインタビューで、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)が進めている金融規制見直し案の国際合意が遅れていることについて「グローバルな不確実性を高めており、早期の合意が望ましい」と語った。

また、米国で金融規制の緩和期待が出ているものの「マネーロンダリング対策などもあり、規制対応コストが大きく低下する環境にはない」との認識を示した。

主なやり取りは、以下の通り。

――バーゼル委などの金融規制の行方をどうみているか。

「バーゼル規制の見直し最終案が遅れている。各国で一部意見が分かれていることに加え、米国で金融規制の影響を包括的に検証する大統領令が出たり、FRB副議長が選任されていないことなどの影響も出ている。われわれとしては、速やかに合意に至ってほしい。グローバルに活動するに当たって不確実性が高まる」

「見直し案が合意できない中で、各国の独自規制がいろいろなかたちで入ってくると、全体の整合性の問題も出てくる。せっかくグローバルでひとつのルールを策定しているのに、いろいろな障壁ができてしまうことになる。3月にも合意できるかと考えていたが、6月も難しいかもしれない。少し時間がかかる可能性が出てきたと思っている」

――邦銀への影響をどう見ているか。

「バーゼル規制見直しをある程度念頭に置きつつ対応を進めてきているので、長期化によって対応が変わることはないと思う。ただ、グローバルに不確実性が高まっていくという意味では、次の対応に向けて本来やらなければいけないことが確定できないという面もある」

―─米国では金融規制の緩和が期待されている。規制対応コストは下がるか。

「米国で実施されているストレステストが緩和されることもあるだろうが、全体としてフレームワークが大きく変わることはないと思う。規制緩和を前提には考えていない。中小金融機関に対する負担軽減はあるかもしれないが、三菱UFJフィナンシャル・グループの米国での業務は相対的には大きく、いろいろな機能も持っている。この分野で規制が大きく緩和されていくことはないと想定している」

「グローバルでみると、マネーロンダリング対策などの目線は高まっているし、各国の独自規制もある。様々なテーマがあり、それに向けてシステムを整備しなければならない。規制コストがどんどん下がっていく環境には残念ながらない」

――マイナス金利政策の効果をどうみているか。

「プラスとマイナスの両面の効果がある。プラス面は、住宅ローン金利が史上最低を更新していることや、社債の長期化や発行量も増加し、企業には非常に低金利のメリットが行き届いている。その反射効果として、年金や保険で利回りの低下が進んだり、銀行では資金収益がマイナスになっている」

「そういう意味では、ポートフォーリオのリバランスを促す効果はあった。貸出も年2%強くらいで底堅く伸びているので、一定の下支え効果はあると思う」

「しかし、残念ながら設備投資が大きく伸びる状況にはなっていない。金融政策だけで全て動くことはなく、財政も成長戦略、もちろん金融機関の金融仲介機能の発揮も必要だ。デフレからの完全脱却、成長に対しての時間軸を与える効果があると思うので、今年度は、それに向けた重要な年になる」

*写真を差し替えます。

(布施太郎 編集:田巻一彦)