3月29日、5日間に及ぶ中国の李首相(中央)のオーストラリア訪問中、両国は、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の保護主義に対抗するとの明確な課題を共有することにより、これまで前例のない合意点を見いだした。写真右はターンブル豪首相。シドニーで25日撮影(2017年 ロイター/David Gray)

[シドニー 29日 ロイター] - 熱狂的なスポーツファンの多いオーストラリアで、ほとんどこれは大失態と言える行為だった。同国を訪れていた中国の李克強首相が、シドニーで行われていたラグビーの試合会場に、相手チームのカラーである青と黒と白のマフラーを身に着けて登場したのだ。

 だが李首相はすぐに、ターンブル豪首相に合わせてホームチーム「シドニー・スワンズ」の赤と白のチームマフラーも身に着けた。

 李首相はその後、さわやかな秋の夕べに両チームのマフラーを着用するのは「実に暑かった」と告白。しかし両国の指導者が満面の笑みで肩を並べている姿は、就任したばかりのトランプ米大統領とターンブル首相との険悪な電話会談とは明らかに対照的である。

 5日間に及ぶ李首相のオーストラリア訪問中、両国は、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の保護主義に対抗するとの明確な課題を共有することにより、これまで前例のない合意点を見いだした。

「中国とオーストラリアの協力は、自由貿易を守り、その恩恵を支持するというわれわれの決意を地域と世界に示すものだ」と、ターンブル首相はシドニーで開催されたフォーラムで財界のリーダーや政治家らに向かってこう述べた。李首相も同様の発言を行った。

 とはいえ、貿易関係強化は、超大国の間に挟まれたオーストラリアのデリケートな綱渡りの一側面にすぎない。米国との揺るぎない安保関係や西側の民主的価値観は、これまで同国と中国の関係深化を限られたものにしていた。