[東京 3日 ロイター] - 日銀が3日発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)は、海外経済の持ち直しや円安などを背景に大企業・中小企業で揃って景況感が改善し、日本経済の回復基調を裏付ける内容となった。一方、先行きは悪化が予想されており、米欧の政治リスクなど海外情勢に対する企業の警戒感も強い。

業況判断DI(良い─悪い)は大企業・製造業がプラス12、同非製造業がプラス20となり、前回の昨年12月調査からそれぞれ2ポイント改善した。改善は製造業が2四半期連続、非製造業が6四半期ぶり。中小企業も製造業がプラス5と4ポイント改善、非製造業がプラス4と2ポイント改善した。

業種別にみると、大企業・製造業では、はん用機械や自動車などの改善幅が比較的大きい。海外経済の回復に伴う輸出の増加や、昨年11月の米大統領選以降の円安進行などが業績改善期待につながっているようだ。

同非製造業では、対個人サービスや宿泊・飲食サービスなどの改善が目立っており、個人消費の持ち直しを反映している可能性がある。

海外経済については、海外での製商品需給判断DI(需要超過─供給超過)が同製造業でマイナス4と2ポイント改善。4四半期連続で供給超幅が縮小している。

一方、先行きについては、大企業・製造業がプラス11、同非製造業がプラス16、中小企業・製造業がゼロ、同非製造業がマイナス1と、いずれも悪化を見込んでいる。

トランプ米政権の保護主義的な政策運営や仏大統領選など欧州の政治情勢に対する警戒感を背景に、回答企業からは海外情勢の先行き不透明感を指摘する声が聞かれた、という。

事業計画は17年度の売上高計画が全規模・全産業で前年比1.3%増、経常利益計画が同1.1%減と増収・減益が見込まれている。もっとも、売上高経常利益率は同4.70%と引き続き高水準を維持している。

17年度の設備投資計画は大企業・全産業で同0.6%増。製造業が同5.3%増、非製造業が同2.0%減となったが、いずれも3月調査としては過去の平均より高めのスタートとなった。

雇用情勢の改善が続く中で、今回の短観では人手不足感の強まりが一段と鮮明になった。雇用人員判断DI(過剰─不足)は大企業、中小企業ともに不足超幅が拡大。全規模・全産業ベースでマイナス25となり、1992年2月以来、25年ぶりの水準にひっ迫している。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・通貨ストラテジストの村田雅志氏は、3月短観について「景気は良いものの、トランプ政権の動向に対する慎重姿勢が強い」と分析。

日銀の金融政策運営に関して「インフレは引き続き弱い状況にあるため、まだ出口には距離がある」とし、黒田東彦総裁が長期金利を目標の「ゼロ%程度」に維持していく姿勢を明確にしている中で「日米金利差は縮小方向に向かいにくく、ドル/円の下方圧力はさほど強まらないだろう」と述べている。

(伊藤純夫 編集:田中志保)