価格.comは何が魅力的だったのか?

 たとえば、価格.comというサイトがあります。主に家電商品の価格情報(価格比較)を掲載しているサイトです。価格.comのサイトに行けば、自分がほしい商品が、どの店でいくらで売っているかがわかります。つまり、「最安値の店」がわかるわけです。

 インターネットの通販サイト同士を比べてどっちが安いかを比較するのは簡単ですが、実店舗の値段を調べて比較するのは、一般消費者には労力がかかりすぎます。でも、価格.comを見に行けばそれが一発でわかるわけです。

 価格.comは、多くの消費者に注目されて大ヒットのインターネットサイトになりました。 価格.comのサイトにアクセスが集まるのは、なぜでしょうか? ネーミングがおもしろいから? 新聞や雑誌など、いろんなメディアに取り上げられたから? デザインが見やすいから? 検索エンジンで、上の方に表示されていてクリックしやすいから?

 それらの要素もゼロではないと思います。ただ、どれも本質的な決定打にはなっていません。つまり、ネーミングがいいからアクセスするわけではなく、メディアに取り上げられたからでもなく、デザインがいいからでもないのです。

 消費者が価格.comのサイトにアクセスするのは、価格.comが提供している「コンテンツ」に魅力を感じるからです。

 価格.comのサイトに消費者がアクセスするのは、そこで提供されている「商品の最安値情報というコンテンツ」に魅力を感じ、そのコンテンツをほしいと思うからですね。

 これは当たり前、かつ非常にシンプルな事実ですが、多くの提供者が忘れてしまっていることでもあります。自社のオウンドメディアを作りたい、自分のブログにアクセスを集めたい、売れる商品・サービスを作りたいと思っている提供者はとても多いです。

 ですが、ほとんどのケースでは、自分たちが提供しているものの中身より、キャッチコピーやデザインが注目されてしまっています。そして、自分たちが提供する中身を磨く前に、とにかくメディアで紹介されることを必死に願っていたりします。それではお客さんの注目は集められませんし、ましてやお金をもらうこともできないでしょう。

 すべては中身、すべてはそのサイト、サービス、商品の「中身(コンテンツ)」が人を惹きつけるかどうか、です。