[東京 5日 ロイター] - 日銀は5日、2016年10─12月期の需給ギャップがプラス0.17%になったと発表した。日銀試算の需給ギャップがプラス圏に浮上するのは、2015年1-3月期以来、7四半期ぶり。海外経済の持ち直しを背景とした設備稼働率の高まりや、労働需給の引き締まり継続などが影響したとみられる。

需給ギャップは日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差。国内総生産(GDP)から推計する内閣府に対し、日銀では、生産設備の稼働率や失業率・労働参加率などから試算している。

日銀試算の需給ギャップは、これまで新興国を中心とした世界経済減速に伴う設備稼働率の低下を中心に、2015年4─6月期以降、6四半期連続で供給超過の状態が続いていた。昨年7─9月期はマイナス0.31%だった。

この間、就業率や労働時間から推計する労働投入ギャップは、小幅のマイナスに沈む局面もみられたものの、労働需給は総じて引き締まり傾向が続いていた。

昨年10─12月期は、労働投入ギャップが0.32%にプラス幅を拡大。海外経済の持ち直しを背景に輸出・生産が増加する中で、資本投入ギャップがマイナス0.15%と、昨年7─9月のマイナス0.55%から縮小したことが需給ギャップ改善を後押しした。

日銀は1月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、需給ギャップについて「2016年度末にかけてプラスに転じ、その後はプラス幅を拡大していくと見込まれる」としており、日銀の想定よりも早目にプラス転換が実現した格好だ。

日銀では、こうした需給の引き締まりが物価上昇圧力を強め、実際の物価上昇が中長期的な予想インフレ率を高まりにつながると期待しているが、市場からは需給ギャップ改善に伴う物価押し上げ効果は限定的との声もある。

これに対し、ニッセイ基礎研経済研究所・経済調査室長の斉藤太郎氏は「今、物価を左右する大きな力は、エネルギー価格と為替だ。需給ギャップの多少の改善では、太刀打ちできない」とし、「このところ出てきた物価押し上げ材料としての需給ギャップ改善、春闘での中小企業や非正規の時給改善は、円高の流れで相殺されてしまう」と予想している。

*内容を追加します。

(伊藤純夫 中川泉 編集:田巻一彦)