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出口治明の提言:日本の優先順位
【第7回】 2011年5月24日
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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

復興資金を稼ぐ担い手は、
民間企業と大都市・東京である

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 大きい館があった。その内の一部が地震で倒壊した。立て直すには、相当なお金がかかる。館の主はもちろん、この館の住人は、これまで以上に働いてよりたくさんのお金を稼がなければ、以前の生活レベルを維持することはできない。

 つまるところ、これが、現在のわが国が置かれた姿なのである。臨時の出費が強いられる以上は、その分を余計に稼ぎ出さなければ、貧しくなるしかない。復興資金を増税で賄うか、国債に依存するかは、極論すれば当面のファイナンスに係る技術論でしかない。肝心な論点は、これからわが国はどうやって復興資金を稼ぎ出すのかというまさにその1点に尽きるのだ。結論から言えば、その担い手の中心は、民間企業と、大都市である東京でしかありえないであろう。

日本の競争力の低さは政治の問題でもあるが、
ビジネス界でさえ27位と低迷している

 スイスのIMD(経営開発国際研究所)が発表した2011年世界競争力年鑑によると、わが国の国際競争力の総合順位は26位であって、トップはアメリカと香港が同点で並び、3位はシンガポールであった。他にトップ10の中には、東アジアから台湾が6位に入っている(5月18日、日本経済新聞)。26位の内訳は、政府が50位、ビジネス界が27位であった。なお、この調査は東日本大震災前に行われているので、現時点においては、下方修正される可能性が高い。

 政府の50位は論外だが、より深刻な問題は、わが国の経済を牽引する民間セクター、すなわちビジネス界の国際競争力が27位と低迷していることである。これが、先進国の株価がすべて回復し、すでにリーマンショック以前の水準の2割高のレベルに達しているのに対して、ひとりわが国の株価のみが大震災以前でもさえも、リーマンショック以前の水準の2割安近辺で低迷している根本の原因である。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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