[東京 6日 ロイター] - 新年度入り後も日本株の下げが止まらない。4月は例年、海外投資家による資金流入がみられる時期だが、今年は売りの勢いが強く、日経平均<.N225>は年初来安値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小や、北朝鮮リスクなどが警戒されている。

ただ、米中首脳会談を無事通過すれば、日本企業の業績拡大や株主還元を好感した買いが入るとの見方も根強い。

<4月の海外勢は16年連続買い越し>   

東京証券取引所が公表する投資主体別売買動向によると、4月は海外投資家は2001年以降、昨年まで日本株を現物で16年連続で買い越している。リーマン・ショックの影響が強く残っていた09年、東日本大震災直後の11年も買い越しだ。

その理由については海外勢が、1)国内勢によるニューマネーの流入を意識、2)業績見通しや株主還元に関する報道を材料視──していることなどがあると言われてきた。

しかし、今年4月は、4営業日だけのデータとはいえ、様子がやや異なる。現物と先物を合わせたベースでみると、1月第1週から3月第5週まで海外投資家は日本株を合計約2.1兆円売り越したが、4月に入っても売り越し姿勢が続いている可能性があるとみられている。

4月第1週の海外勢の売買動向を確認するには来週まで待つ必要があるが、4月以降の東証の空売り比率は40%超と高水準。6日は45.3%まで上昇し、今年最高となった。「空売り比率が高まる時期と、海外投資家が売りに動く時期が重なるケースが多い」と、水戸証券・投資顧問部チーフファンドマネージャーの酒井一氏は指摘する。

<プット買い観測>

6日の東京株式市場で、日経平均は年初来安値を更新。下げ幅は一時300円を超えたほか、東証1部銘柄の95%が値下がりする全面安商状となった。

こうしたなか、日経平均ボラティリティー指数<.JNIV>は一時20.59ポイントまで上昇し、取引時間中としては2月6日以来、2カ月ぶりの高水準を付けた。市場では、「海外勢によるプット買いに伴うヘッジの先物売りではないか」(国内投信トレーダー)との見方がもっぱらだ。

同指数は昨年11月の米大統領選で一時30ポイント超、英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票時には一時43ポイント超まで急伸している。

これを考慮すれば、上げ方はまだおとなしい。「市場が大きく混乱しているという感じではない」と、eワラント証券・トレーディング部ヴァイスプレジデントの堤壮一郎氏は話す。

ただ、ソシエテ・ジェネラル証券・株式営業部長の杉原龍馬氏は「ファンダメンタルズではなく、リスクセンチメントで動く相場。市場に織り込みづらいリスクファクターが多く、反発に向かうカタリストもみえない」とみる。

<米中首脳会談を前に北朝鮮リスクを警戒>

リスクファクターの1つは、FRBのバランスシート縮小だ。前日公表された3月14─15日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、大半のメンバーが、年内にもバランスシート縮小に着手すべきとの考えを示していたことが判明した。

しかし、金融緩和相場のベースとなっているFRBのバランスシート縮小は、世界のマーケット全体に影響が及ぶ問題だ。ドル/円<JPY=>は米株安を嫌気し、やや円高に振れたが、110円台を維持しており、日本株の下落率が突出している理由とは考えにくい。

もう1つのリスクファクターは北朝鮮問題だ。6─7日に開催される予定の米中首脳会談を前に、北朝鮮が5日朝の発射に続き、新たなミサイルを日本海に向け発射したり、核実験を強行する可能性など、地政学リスクが強く意識されている。

「北朝鮮問題に関して、米中間の隔たりは大きい。地理的に北朝鮮は日本に近く米軍基地もある。海外投資家はこうしたリスクに敏感だ」と、アムンディ・ジャパンの市場経済調査部長、濱崎優氏は指摘する。

6日の東証1部市場では、わずか73銘柄(3.6%)しか、上昇銘柄がなかったが、上位には石川製作所<6208.T>や豊和工業<6203.T>など防衛関連株が並んだ。

「米中首脳会談を無事通過し、日本企業の業績拡大や株主還元に注目が集まれば、海外勢のマネーも流入しやすくなる」(外資系証券)とされる。

しかし、トランプ米大統領の政策実現に不透明感が強くなっているほか、フランスなど欧州の選挙も待ち受ける。

4月を乗り越えたとしても、今度は「セル・イン・メイ」のアノマリーを警戒する声が出てくるかもしれない。

(長田善行 編集:伊賀大記)