パナの家庭用宅配ボックス、再配達問題で売上5倍に需要が急増した旧タイプ(左)。三つの新タイプは、6月以降に延期 写真提供:パナソニック エコソリューションズ社

 来年3月に創業100周年を迎えるパナソニックで、“珍事”が起こった。

 4月3日、パナソニックで住宅設備事業を担うエコソリューションズ社は、販売開始から10年目を迎えた「戸建住宅用宅配ボックス」シリーズに三つの新タイプを加えるはずだったが、直前の3月28日になって急きょ延期された。

 なぜなら、大々的に打ち出した3月6日以降、世間一般の関心が“宅配便の再配達問題”に集中したことによって、宅配ボックスの利便性を知った消費者からの注文が殺到したからだった。今年2月までの月間平均販売台数は400~500台だったが、3月中だけで2000台以上も売れ、通常の5倍以上の売り上げとなった。

 この急激な需要の増加を受けて、自社生産していなかったエコソリューションズ社は、京都府にある唯一の協力工場の生産能力を月産1300台に増強させてフル稼働していた。それでも製品の供給が追い付かず、新タイプの発売を引っ込めて、旧タイプの生産に専念せざるを得なくなったのだ。

 現時点では、旧タイプの納品が「1~2カ月待ち」だが、混乱が収まれば、6月1日から新タイプを発売するという。それらは、(1)住宅の壁に埋め込む郵便ポスト一体型ボックス、(2)屋外に設置する郵便ポスト一体型ボックス、(3)アパート用のボックスである。