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美人のもと

焼き鳥

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第101回】 2011年5月30日
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 もともと焼き鳥屋には女性が少なかった。最近は焼き鳥ファンも増えてきたようで、よく見かけるようになった。鶏肉は女性にも人気があるのだが、焼き鳥となると男っぽい印象があったからなのだろうか。

 何が男っぽいかといえばやはり串だろう。串にささった肉にかぶりつき、グイッとヨコにスライドさせながら食べる。あの姿が女性にはなじみにくいのかもしれない。

 あのしぐさが嫌でいちいち箸を使い串からはずしている人も見かけるが、箸を外側に押し出す姿が「嫌いなもの」を扱っているようで見ていてがっかりする。「たぶん、この人男の前で声を変えるタイプだよな」と思える。むしろ串のまま元気よく食べている方がかわいいと思える。

 焼き鳥屋にいる美人は目立つ。その美しさだけではなく、やはり食べ方なのだ。きちんと焼き鳥に向き合っているのだ。向き合っている時間こそ「美人のもと」が増えているように思う。背筋を伸ばしてしっかり肉を見る。見てから串を持って食べる。

 焼き鳥屋は鳥と言いながら、メインは酒である。焼肉屋とは違うのだ。お酒をおいしく飲むために焼き鳥があるという設定である。焼き鳥はサブだ。サブは注目されにくい。

 そういう設定の中、串に刺さっているという形状もあり、肉に視線が行く時間が短い。目が一緒に飲んでいる相手の顔など違うほうに向いている間に食べてしまうのだ。向き合いにくい。しっかり見ていないので、硬い砂肝を食べるときについつい力んで砂肝が飛んでいく失敗をしてしまう。コロコロ転がった砂肝を目立たないようにこっそりキックしている人もいる。

 向き合っていれば、焼きたてのおいしい時間にきちんと口に運び、笑顔も増える。サブである肉をずっとサブ扱いしていると、せっかくの焼きたてを冷やしてしまい、味わいもなくなってしまう。冷めて硬くなると、またコロコロの心配も増える。

 焼き鳥と向き合う。サブにも注目する。そんな気持ひとつで焼き鳥は「美人のもと」になっていくのだ。


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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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