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人を支援し、人ができないこともする…
デジタルで顧客接点はどこまで高度化するか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第67回】 2017年4月14日
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高度化のステージ3

 ステージ3では、デジタル技術を駆使して、従来人でなければ対応できなかった業務を機械に委ねたり、人では不可能だった業務を遂行したりする。これによって解放された人の時間や能力は、人にしかできないきめ細かな対応や、より高度な顧客価値の創出に振り向けることができるようになる。具体的な施策は以下のとおりである。また、その説明と適用例を図6に示す。

プロファイル・ベース・リテンション:Amazon.comなどのショッピングサイトでは、従来から閲覧履歴や購買履歴からお薦め商品を提示することが行われていたが、これをリアルな顧客対応にも適用することができる。会員情報に紐づいたスマートデバイスなどから個人を特定し、店頭でも属性や履歴情報を基に有益な提案することができれば、顧客維持や売上げ増大につながる。

バーチャル・エージェント:顧客対応の究極の効率化は、AIやロボット技術を活用した完全無人化である。現時点では、自然言語処理技術の限界も囁かれているが、将来的には幅広い業務で活用されることが期待される。

 顧客対応の高度化にはいくつかのステージがあり、一足飛びに全ての業務をデジタル技術に委ねることはできない。例えば、顧客プロファイルや履歴情報が十分に収集されていない段階でAIを導入しても有効な対応はできない。また、IoTなどの技術を導入すること自体を目的とするのも本末転倒といえる。企業は顧客接点の高度化のステージに照らして自社の現状のステージと課題を見極め、ありたい姿とその目的を明確にし、段階的なステージアップを目指すことが推奨される。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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