自社で大量のマンション用地を抱え、完成後の物件もなかなか値下げをしない、強気の姿勢で知られるマンションデベロッパーのゴールドクレスト。創業者で社長の安川秀俊氏(55歳)は、不動産業界では「天才肌」「用地の目利き」として知られる半面、公の場に出る機会は少ないが、今回、週刊ダイヤモンド4月15日号の第2特集「乱戦!独立系マンションデベ」の単独取材に応じた。その詳細をダイヤモンド・オンラインでお届けする。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

リーマン後は着工せず

ゴールドクレスト社長が語る、消費不振時代のマンションビジネス神奈川県川崎市でゴールドクレストが建設する「クレストプライムレジデンス」。広大な土地に、計7棟の住居と共用施設が並ぶ

――今期の2017年3月期決算は、連結営業利益380億円、営業利益94億円で、対前期比で増収増益の見通しです。

 増収増益というより、数年前までしばらく売り上げが下がっていたんですね。

 08年にリーマンショック、11年に東日本大震災があり、その後の不動産市況がどうなるのか、さらに底を抜けるのではないか、との懸念もあり、新たな着工をしないで、優良在庫(完成済みマンション)の供給に事業を絞っていました。それで当時は売り上げが下がっていたのです。

 景気が回復してから、優良な用地でのマンション開発、販売を進めたので、ようやく足元で売上高と利益が増加しているということです。

――ゴールドクレストの特徴は、不況時に用地を安く仕入れ、保有し、好況になったらマンションを建てて売る手法です。ですがかつては、土地を仕入れたら素早く事業化して資金回収する、いわゆる高回転モデルだったとか。

 それは、1992年に会社を作って間もないころですね。