米国と中国において、ある製品・サービスが「創造的」とされる判断基準はどう違うのか。たとえば中国の場合、米国とは対照的に「大衆向け・量産品」であることは創造的である証だという。


 消費者はある製品が創造的だと思うと、それを気に入り、情報をシェアしたり買ったりする可能性が高くなる(英語論文)。しかし「創造的」とはどんなものを指すのかについては、すべての人が一致しているわけではない。

 ジェフリー・ローウェンスタインと私が先頃発表した研究では、世界の2大経済圏である米国と中国において、創造的とされる製品の特性を検証した(英語論文)。その結果、製品が創造的かどうかの判断基準は2つの国で違っていることがわかった。

 たとえば、米国人が非常に創造的だと感じて惚れ込むような製品が、中国の人にとってはつまらないものに見えることがありうる。また逆に、中国の人が創造的だと思う製品が、米国人にとっては個性に欠けるものに見える場合もある。

 どんな製品にもさまざまな機能・特性がある。我々の研究では、米中2つの文化圏の少なくとも一方において創造性との関連を指摘された特性を、26個特定した。それぞれの文化圏での創造性に関する心理的認識を理解するために、まずは双方が一致している特性を知っておこう。その後、相違している部分を見ていくことにする。

 以下のリストは、米中で共に創造的だとされる特性である。

●パラダイムシフト:その製品やプロセスは、発想の大きな転換を象徴している。

●ブレークスルー:他者が実現できなかったことや不可能だと考えたことを、実現している。

●ポテンシャル:その製品やプロセスによって開かれた、未来のさまざまな可能性。

●新奇性:その製品やプロセスの珍しさ。

●再利用:あるコンテキストから何かを抽出して、別のコンテキストに応用している。

●意外性:その製品やプロセスが呼び起こす、驚きや衝撃などの感情的反応。

●芸術性:その製品やプロセスの美しさ。

●組み合わせ:通常は別々である複数の機能、特性その他の要素を統合している。

●ハイテク:テクノロジーの機能性にこだわっている。

●喜び:その製品やプロセスに接することで生じる幸福感や楽しさ。

 創造的かどうかを判断する際に、米国人は上記リストの特性だけに注目する。一方、中国の消費者はより広い範囲の特性を考える。

 たとえば、中国の人にとっては、あるアイデアが「ブレークスルー」であるだけでは十分ではない。そのアイデアが「広い支持」を得ているという実績の有無にも注目する。