[東京 15日 ロイター] - エアバッグの大量リコール問題を抱えるタカタ<7312.T>の再建計画の策定が5月中にずれ込む見通しだ。3月末までのとりまとめを目指していたが、タカタ本社の再建手法が決まらないうえ、大口債権者の自動車メーカー各社との補償交渉が続いている。

タカタは5月中に開催を予定している車メーカーとの会合を踏まえ、関係企業との最終合意を目指す。複数の関係筋が明らかにした。

再建手法をめぐっては、車メーカーの多くが裁判所の関与する法的整理を求める一方、タカタは裁判所が関与しない債権者との合意による私的整理を主張しており、どちらの手法を採用するか、まだ確定していない。

また、リコール費用の大半を負担する車メーカー各社とスポンサー候補で中国の寧波均勝電子<600699.SS>傘下のキー・セーフティ・システムズ(KSS)との間の損失補償に絡む協議、KSSによるタカタの潜在的な債務を精査する作業や資産査定も続いている。

関係筋によると、KSSは交渉に前向きで、車メーカーの厳しい要求などにも対応しているという。車メーカーもKSSをスポンサーとすることに同意している。KSSには、かつてスポンサー候補として化学メーカーのダイセル<4202.T>と組んだ米投資ファンドのベイン・キャピタルが合流し、少数株主として資本参加する方向だ。

タカタ側は、法的整理となれば下請け企業にも影響が及んで部材供給が滞りかねず、車メーカーへの安定的な部品供給ができなくなると主張。私的整理で「関係者合意による再建を目指している」と表明している。

タカタが提示している私的整理案は、自社を会社分割し、新会社に続けたい健全な事業だけを移したうえでKSSから約2000億円の出資を受け、旧会社にはリコール費用や訴訟費用などの債務を残して最終的に特別清算するという内容だ。

一方、車メーカーの多くは旧会社が引き継ぐ債務問題について、法的整理によって裁判所が債務の弁済率を決めることで透明かつ公平性のある問題処理が可能になるとみている。今後、訴訟などが発生して新たな債務が発生する懸念があるためだ。車メーカーは1兆円規模に膨らむ恐れのあるリコール費用の大半を肩代わりしており、再建計画の策定には車メーカーの同意が欠かせない。

タカタの株式は創業家が約6割を保有する。関係筋によれば、創業家出身の高田重久会長が一定程度の株主責任を受け入れることについて柔軟な姿勢に傾きつつあり、同時に、再建中においてKSSには従業員の雇用維持、車メーカーには取引の継続・再開を要望しているという。

複数の関係筋が、協議の状況は「まだ混沌としている」と話す。ただ、別の関係筋の話では、車メーカー各社、KSSともに早期に合意したいとの思いでは一致しているという。ある車メーカー役員は「タカタがなくなって困らない車メーカーはない」としたうえで、「リコール費用を取り戻すことはほぼあきらめている」とも話す。

タカタ製エアバッグのリコールをめぐっては、関連する事故で米国など海外で死亡者が16人、負傷者は150人超に上っている。ホンダ<7267.T>やトヨタ自動車<7203.T>、独BMW<BMWG.DE>など国内外16社超のメーカーが世界でリコールを実施。メーカーによってはリコールに伴う交換部品も供給が間に合っていない。

*写真を加えました。

(白木真紀、浦中大我、布施太郎、藤田淳子、田実直美 編集:北松克朗)