「ブラック企業度」は非公開、若者雇用促進法の看板倒れ

 2018年卒業予定の大学生の就職活動は今が真っ盛り。国が「働き方改革」推進で労働環境の転換を図る中、学生はミスマッチをしたくないと例年以上に「働く条件」にもシビアなチェックを入れている。

 そんな学生に判断材料を提供しようと、国が推すのが若者雇用促進法。16年3月から新卒募集する企業に下図の職場情報12項目の開示を促した。ホームページなどでの公開のほか、学生側から個別に求めがあれば、メールまたは書面で応じる必要がある。

 人材業界関係者によると、「昨春の就活シーズンは施行直後で企業のアクションも学生の認知も追い付いておらず、今春が本格運用1年目といえる」。企業の情報公開を促す意味で「総論OK」は誰もが認めるところだが、その実効性に疑問符が付いている。

 同促進法が企業に開示を求めるのは、「募集・採用に関する状況」など3カテゴリーの計12項目。各カテゴリーで「一つ以上」開示するよう義務付けているが、企業は都合の良い情報を任意で選んで公開し、「義務を果たした」と対外的に取り繕うことができる。