4月12日、スイスの腕時計メーカーは「グレーマーケット(灰色市場)」に対し、大幅な値引きは高級感を損ねると嫌悪感を露わにするが、各ブランドは密かにグレーマーケット業者との連携を開始せざるを得なくなっている。写真はベーゼルの展示会でのパテック・フィリップのディスプレー。3月撮影(2017年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[チューリッヒ 12日 ロイター] - ダイヤモンドを散りばめたロレックスの腕時計は定価3万4000ドル(約370万円)が4割引きに、そしてオメガの「スピードマスター・ムーンフェイズ」は1万ドルを切ることも──。

 それでも大半の人には手の届かない価格だが、まん延するこうした商売は、高級腕時計メーカーが現在置かれている複雑な窮状を浮き彫りにしている。

 高級腕時計の売り上げが減少するなか、ますます多くの売れ残り商品が、スイスが独占する業界によって慎重にコントロールされた公式販売ネットワークから、オンラインショップへと流れ込んでいる。こうしたルートでは、大幅な割引価格で販売されることが多い。

 こうした「グレーマーケット(灰色市場)」に対し、スイスの腕時計メーカーは嫌悪感を露わにする。大幅な値引きは、慎重に築かれた高級感のオーラを損ね、正規価格で売ることが困難になると訴える。

「高級品部門においては、評判、夢、価格といった幻想が崩れてしまうと、信頼も失われてしまう。高級品にとって、それは緩慢な死を意味する」。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の腕時計部門を率いるジャン・クロード・ビバー氏はそう語る。

 先月バーゼルで開催されたフェアでロイターのインタビューに応じたビバー氏は、グレーマーケットを「業界のガン」と呼んだ。