経営 X 人事

「新卒社員の3割が3年で辞める」はなぜ30年間変わらないのか

入社3年で「3割」が辞める
バブル期から変化がないミスマッチ

 一方で、厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」によると、新入社員(大卒者)の3割が、入社後3年以内に最初の会社を辞めている。この状態はバブル時代から変わることなく、1987年以降、「新卒3年目までの離職率」は概ね25~35%の範囲で推移している。キャリア採用の浸透とともに転職に対する抵抗感が少なくなったことや、転職手段が増え、転職自体が容易になったことなどがその理由として考えられる。その他にも、近年の「ゆとり世代」「さとり世代」と呼ばれる若者の志向の変化や時代背景など、さまざまな見方がある。

 「新卒3年目までの離職率」がバブル時代から現在まで変わらないという事実は、入社した企業が構造的な問題を抱えていること、また、採用選考のあり方に問題があることも同時に示している。なぜこのような採用の「ミスマッチ」が起きてしまうのだろうか。

 実は3年で3割が辞めると言っても、従業員規模によってその状況は大きく異なる。厚生労働省が発表した「新規大学卒業就職者の事業所規模別離職状況」(平成25年3月卒)によると、「新卒3年目までの離職率」は、以下の通りだ。

新卒3年目までの離職率(平成25年3月卒)

採用人数(人)

3年以内離職率

5未満

約6割(59.0%)

5~29

約5割(49.9%)

30~99

約4割(38.6%)

100~499

約3割(31.9%)

500~999

約3割(29.2%)

1000以上

約2割(23.6%)

 従業員規模が小さいほど「新卒3年目までの離職率」が高い。大企業志向(安定志向)は依然として強く、「待遇の良さ」を求める傾向は今も昔も変わらない。

本音の退職理由は「キャリアの成長が望めない」
就職情報サイトを鵜呑みにする学生

 しかし1000人以上の大企業でも、新規学卒者の2割が3年以内に辞めているのは事実。この問題を解決するには、「ミスマッチ」が起こる原因を追求しなくてはならない。まずは、新入社員の退職理由の“本音”を聞く必要があるだろう。

 企業の口コミサイト「Vorkers」が発表した、新卒入社で3年以内に退職した平成生まれの若手社会人の「退職理由ランキング」(2007年~2015年に新卒3年目までに退職した元社員から投稿された回答・全627件)を見ると、退職理由で最も多かったのは「キャリアの成長が望めない」25.5%。その後を僅差で「残業・拘束時間の長さ」24.4%が続き、以下、「仕事内容とのミスマッチ」19.8%、「待遇・福利厚生の悪さ」18.5%、「企業の方針や組織体制・社風などとのミスマッチ」14.0%などが上位に挙がっている。

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『日本の人事部』編集部 

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