日本のAI開発をリードするパソコンとアニソンの圧倒的な“オタク”力西川徹代表取締役社長CEO・プリファード・ネットワークス

『週刊ダイヤモンド』4月22日号の第1特集は「『孫家』の教え──起業家に学ぶ10年後も稼げる条件」です。人工知能(AI)やロボットの進化、そして長寿命化の進展によって社会の構造が大きく変わる中、将来も「食べるのに困らない」、そんな未来を切り開く人材を育てるにはどうすればいいのでしょうか。そこで、10年先も活躍していることが確実な若手起業家27人を徹底取材しました。その生い立ちや家庭環境からどのような力を磨いてきたのか。誌面に収まりきらなかった秘話を「拡大版」としてお届けします。今回は、独自の深層学習技術に産業界が熱視線を寄せるプリファード・ネットワークスを創業した、西川徹代表取締役社長CEO(34歳)です。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)

小学生からプログラミングにのめり込む異才

 「中高時代は授業中もプログラミングに熱中していました」。そう屈託なく語るのは、プリファード・ネットワークス社長の西川徹だ。同社の深層学習技術は産業界からも注目の的で、数多くの大企業と提携を進めている。

 そんな西川がコンピューターにのめり込む“スイッチ”を入れたのは、小学生のころ出会った一冊の本だった。ふと家に置いてあった「BASIC」というプログラミング言語の解説本を読み、その仕組みに一気に引き込まれていった。「普段プレーしているテレビゲームは値段も高い。いっそのこと、作ってしまえばいいのでは」――そんな欲求も芽生える中、西川は小学生からプログラミングを始め、次第にコンピューターの世界に没頭。中学生の頃には自分でゲームを作れるほどになっていた。