[ワシントン 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日、各国の財政状況を分析した報告書を発表した。米国や欧州、中国における政治や経済の現実が、世界的な財政見通しに影を落としているとし、均衡の取れた税・財政政策を進めるよう各国に呼びかけた。

先進国の公的債務は全体として中期的に安定するとの見方を示した。新興国の財政悪化にも歯止めがかかったようだとした。

報告書は「米国の財政出動の規模や内容が明確でないことや、欧州でいくつもの選挙を控えていること、中国で共産党大会が開かれることなどは全て政治的不透明感につながっている」とした。

IMFは長年にわたり、経済が低迷している国には成長促進型の財政刺激策を勧めてきた。一方、経済が底堅い国に対しては好景気な間は財政規律を守るようにと釘を刺していた。

今回IMFは米国に対し、米経済が最大雇用に近づいていることを踏まえて、来年から財政再建を開始して「債務を確実に圧縮する軌道」を進むよう求めた。

トランプ米大統領は減税を含む財政刺激策を公言している。IMFはこうした政策が導入されれば、米国の債務比率は向こう5年間増え続けるとの見通しを示した。

一方で報告書は「借り入れコストが安く、インフラ不足が顕著」であることを踏まえ、多くの国にとって財政出動を増やすことは理にかなうとした。特に米国において、税制改革は企業投資を促す可能性があるとした。

新興国と発展途上国については依然リスクがあると警告。金利のさらなる急上昇やドルの値上がり、一次産品の値下がりをリスク要因として挙げた。

IMFと世界銀行は週末にかけて会合を開催する。それに合わせて20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が21─23日に予定されている。

IMFのトビアス・エイドリアン金融顧問兼金融資本市場局長は会見で、現在市場にみられる楽観ムードは、特に米国の今後の政策方針を巡る穏やかな(benign)見方に基づくものだが、予想通りにいかない可能性もあると警告。今回の報告書に記された下振れリスクに改めて言及した。

エイドリアン氏は「下振れリスクは想定される今後の政策経路からかい離することで生じる。われわれは、財政拡張が金利のより急速で大幅な上昇をもたらすことや、内向きの政策が世界経済成長の低下につながる恐れを特に強調する」と述べた。

また同氏は、米国の企業セクターは総じて健全とはいえ、債務水準は歴史的な高水準になっており、約4兆ドルの負債を抱える最も脆弱な企業群が存在すると指摘した。その上で、政策が期待に反して間違った方向に進んだ場合、こうした企業セクターの一部は想定外のショックにされされてもおかしくないとの見方を示した。