でも論文や実験でウソをつくと「ゲーム」が破綻するので、ゲームのルールを守るのは凄く重要。ルールを守りながら「戦略」では自由なことをしてもよい、というのが大事です。この考え方が身についているかどうかが、社会人になったかどうかの分かれ目だとも思いますね。ゲームのルールを守る習慣さえあれば、倫理観が欠如しても問題ない。

――父の信彦氏と自分が似ているところはありますか。

 なんだろう……あまり似てないんですが、ポジティブなところですかね。うちの親父はレッドオーシャン(競争の激しい世界)には強くなさそうだけど、ブルーオーシャン(競争環境が穏やかな世界)には強い。そういう意味では、親父は猪子さんっぽいですね。

──自身の思考方法や行動原理の枠組みはいつ形作られたのでしょうか。

 大学ぐらいだと思います。高校ぐらいまで特に何も考えていなかったからね。受験もやる気はなかった。やる気があったことって、人生であまりなくて。でも大学で専門性が決まって、さあやるか、と。今はやる気あって、すごく働いてます。(大学以降は)人生の進むスピードが思ったより速かったですね。

――数年後はどんな姿を思い描いていますか。

 若さのムリがきくうちに働いておこうと思っていて、今は29歳ですが、あと3~4年はよく働こうと考えてます。なんか分かってきたことがあるんですが、実はこの世界は意思決定者がもの凄く少ない。たぶん世界で5000人ぐらいです。だから、もうちょっと働こうと。

教育で必要なのは問いをつくる能力

――自身の強みは何だと思いますか。

 「ザックリ理解して、取りあえず歩きだすこと」が得意ですね。そこまですごく早い。理解し終えるまでに手を動かし始めます。ものを作りつつ考える作業を、見切り発車で始める能力が重要だと思っています。