「LCCの運航会社は、徹底したコスト管理でひとたび不採算だと判断すれば撤退も早いのです。各自治体が、そこを助成金でなんとかつないでいるという一面は少なからず存在します」(前出の自治体職員)。

 茨城県が、茨城空港利用に投じた予算は少なくない。それでは実際に経済効果は表れているのかと同県に問いあわせたところ、その回答は「難しい質問です」というものだった。

血税をつぎ込んで
自治体職員が利用

 13年、中国東方航空が就航する鹿児島―上海線(週2往復)が利用者の低迷に陥った。そこで路線維持のため、鹿児島県は県職員1000人を研修目的で上海に派遣すると発表した。一人当たりの費用を約12万円と見積もり、予算総額を1億1800万円にまで膨らませた。路線維持のために公費をつぎ込もうという県に対し、県民から批判の声が上がった。こうした顛末は、いまなお県民の語り草になっている。

 なお、鹿児島-上海便の搭乗率が落ちたのは、前の年に中国で尖閣諸島の国有化を発端にした反日デモに起因している。同じく最近では、韓国のTHAAD配備の問題で、中国政府は東方航空や春秋航空に対し、韓国への乗り入れを減少させるという政治的対抗措置を講じている。「二国間に摩擦が生じれば、すぐに観光客を引き揚げさせる」のは中国の常套手段だ。

 このように自治体が身銭を切って誘致をしても、為替が円高に振れたり、あるいは二国間の政治関係が悪化したりすれば、たちまち中国からの客足は途絶えてしまう。こうした不安定な状況に置かれる日中間の航空路線だが、今後これを健全に維持するにはどうしたらいいのだろうか。

 冒頭で取り上げた「松山-上海便」の維持に腐心していた愛媛県だが、最近、旅行会社が上海経由の東南アジア旅行を企画したこともあって、搭乗率は回復しているという。愛媛県国際交流課国際線振興の担当者は次のように語る。

「日中間を結ぶエアラインのひとつの特徴は、中国からの利用客が多いのに対し、日本からの利用客は少ないという点にあります。このアンバランスは逆風に弱いため、搭乗率を維持するためのカギは“日本からのアウトバウンドを増やすこと”にあります」

 需要と供給のバランスを無視し、助成金をつぎ込む路線維持のやり方は、いずれ破たんが来る。「2020年までに訪日客4000万人」という大目標を掲げ、その経済効果予想を強調する日本政府。この目標数値実現のために、この先もさらに日本国中で「補助金」「助成金」を使い続けるのは、国民や地域住民の血税の正しい使い道だと言えるのだろうか。

(ジャーナリスト 姫田小夏)