さて、私は酒もタバコもやらないが、リバタリアン、つまり自由主義論者なので、こういった規制には実は反対だ。重度のアルコール依存症患者やチェーンスモーカーには医療としての対応は必要だし、アルコールで犯罪を起こした人に対しては警察は厳しく対応すべきだと思うが、個人が日常的に楽しんでいることに行政がとやかく言うべきではないと思っている。

 最近だと、自宅でタバコを吸っている人に対して換気扇から臭いが出てくるという理由でクレームをつけるといった動きがあるが、ここまで来るとやり過ぎだというのが私の意見だ。とはいえ、反対論者の主張には、「タバコもアルコールも健康に悪い」という錦の御旗のような根拠がある。その点について、コンサルタントの立場からひとこと言っておこう。

おいしいものはみな健康に悪い
むやみな規制は悪法のそしりを免れない

 実は、健康食品についてのコンサルティングをしている中で気づいたことがある。「おいしいものはみんな体に悪い」のだ。

 タバコはともかく、酒と同じくらい体に悪いものを挙げると、霜降りの牛肉とかフォアグラとかの食べ過ぎは体によくない。激辛のカレーのように過剰なスパイスや塩分の取り過ぎも体に悪い。おいしいご飯もそうだ。おいしいからといって炭水化物や糖分を食べ過ぎると、肥満で糖尿病リスクが増大する。

 ハリウッドのSF映画で描かれる未来社会では、体に悪いという理由で料理に塩をかけるのが禁止されていたが、笑いごとではない。嗜好品やおいしい食材はなんでも適量ならよいが、過剰になると健康に悪いのだ。

 そんなことは当たり前であるにもかかわらず、適度な嗜みまで禁止する規制が万一行なわれるようなことがあれば、20世紀前半の米国で施行された「禁酒法」のように、歴史的には「悪法」のそしりを免れないだろう。現在そんな法律はないが、「禁脂身法」や「禁塩法」ができたとしても、同じことだ。

 私が新設されたアルコール健康障害対策推進室の関係者に願うのは、「あくまで適度な仕事をしてほしい」ということに尽きる。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)