政府は3月28日、「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の最終会合を開き、残業時間の罰則付き上限規制などを盛り込んだ「働き方改革実行計画」を決定した。この会議では、安倍首相の指示により、連合の神津里季生会長と、経済団体連合会の榊原定征会長が直接交渉するなど、まさに筋書きがないドラマが繰り広げられた。その舞台裏と、今回の計画に対する評価について、連合の神津会長を直撃した。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン副編集長 田島靖久)

ひょうたんから駒の労使交渉で
労働基準法70年目の快挙決まる

──政府が3月末にまとめた「働き方改革実行計画」に、長年の懸案だった長時間労働の是正などについて盛り込まれました。

「残業時間は減るのでしょうか」連合の神津会長を直撃!神津里季生(こうづ・りきお)/1956年東京都生まれ。東京大学教養学部卒業後、新日本製鐵に入社。2002年に新日本製鐵労働組合連合会会長に就任。日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員長などを経て、13年に日本労働組合総連合会(連合)事務局長に就任。15年から連合会長を務める。

 今回は、まるで“ひょうたんから駒”のように、経団連と労使交渉まで行うこととなりましたが、その結果、いい形で合意することができたという意味では、非常に意義深いものだったと思っています。労使が立ち位置の違いを乗り越えて、双方が合意できる内容にしていけたのですから。

 その中身についても、長時間労働の上限規制を罰則付きで設けることが決められるなど、精神論だけではなく具体的な仕組みとして成果を収めることができた意味は極めて大きいものがあります。これは労働基準法が施行されて以来70年間で初めてのことで、言ってみれば連合としての長年の悲願でもありましたから。そのこと自体は画期的なことだと言えるでしょう。