経営×ソーシャル
ソーシャル グローバルトレンド
【第12回】 2017年4月25日
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武邑光裕 [クオン株式会社 取締役 兼 ベルリン支局長]

なぜベルリンがスタートアップの聖地になったのか?

Factoryのカフェ空間。コワーカーはフリーアドレスな多彩な空間をその都度選んで仕事ができる

ベルリンは年に500のスタートアップが生まれ、その成長指数は世界一、コワーキングスペースの保有率で世界3位の都市です。世界の投資家を唸らせ、一気に世界を駆け巡るソーシャルアプリの数々は、世界中から集まる起業家たちによって生み出されます。シリコンバレーが減速する中、なぜベルリンがスタートアップの聖地となったのか。その核心をレポートします。

スタートアップ×デジタル経済

 スタートアップとは、会社を起業しただけではなく、すでにベンチャーキャピタルなどからの投資を確保し、飛躍的な成長が期待される新興企業を指します。米国では大きな収益に向かう段階の企業をStartupと呼び、新興の起業家はUp-startsと呼んで区別されています。Startup Europeが作成するマッピングによれば、現在EU全域で82万を超えるスタートアップが登録されており、450万人の従業員と総収入で4260億ユーロ(約50兆7000億円)、総資金調達は360億ユーロ(約4兆2857億円)に及びます。

ベルリンのスタートアップDabsmashのアプリ画面。歌が音源を選び、それを元に口パク自撮り映像を作成する

 2016年に注目を集めたベルリン発のスタートアップは、グローバルな成功に向かう新世代が中心です。ユーザーによる吹き替え「自撮り」動画を作成するバイラルビデオ・メッセージングアプリDubsmashは、2016年、欧州29ヵ国のApp Storeで第1位となり、一気に900万ユーロ(約10億7000万円)の資金調達を成し遂げました。EU圏内のマルチモーダル旅行予約システムGoEuroは、欧州に広がる3万2000もの鉄道とバス、207の空港を結び、世界120ヵ国、3000万人のユーザーに支持され、7600万ドル(約84億円)の資金調達を達成しています。

米国の料理家マーサ・スチュワートとコラボしたMartha & Marley Spoonブランド

 週に10通りのレシピを開発し、新鮮な食材を配達してフードロスを削減する料理レシピ+食材調達アプリMarley Spoonは、発売後間もなく2億7500万ドル(約305億5000万円)の資金を調達しました。ドイツ、英国、オランダ、ベルギー、オーストラリア、米国の260万世帯に食材を配達し、現在、米国の料理家マーサ・スチュワートとのコラボによって、Martha & Marley Spoonブランドがスタートし、全米進出を成功させています。

 しかし、そもそもなぜベルリンなのでしょうか。今、欧州のみならず世界の起業家、若者がベルリンを目指します。ベルリンのスタートアップとは、急成長が期待される企業だけでなく、これから成功を手にしようとする起業家精神にも適用される言葉なのです。



武邑光裕(たけむら・みつひろ)[クオン株式会社 取締役 兼 ベルリン支局長]

メディア美学者。武邑塾主幹。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学情報デザイン科、同大メディア美学研究センター所長、東京大学大学院新領域創成科学研究科、札幌市立大学デザイン学部(メディアデザイン)で教授職を歴任。2015年より現職。専門はメディア美学、デジタル・アーカイヴ情報学、創造産業論、ソーシャルメディアデザイン。著書『記憶のゆくたて デジタル・アーカイヴの文化経済』(東京大学出版会)で第19回電気通信普及財団テレコム社会科学賞を受賞。2015年よりクオン株式会社ベルリン支局長。2016年、取締役就任。


ソーシャル グローバルトレンド

ヨーロッパ各国から様々なクリエイターやテクノロジストが集まる街、ドイツ・ベルリン。この街を訪れると、自ずとソーシャルビジネスのグローバルトレンドを垣間見ることができます。本連載では、ベルリンに在住する著者が現地で見た、ソーシャルビジネスの最前線を紹介します。

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