“実質無料”の口車に乗り、高額のクレジット契約を結ぶ──。だまされる方も悪いと言いたくなるが、巧みな手口である上、その契約がほぼ“無審査”だったとしたら……。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 野村聖子)

「ただより高いものはない」──。この言葉を象徴する事件が、ゴルフ業界全体、さらには信販会社を揺るがす大問題に発展している。

 ゴルフIT関連会社、ゴルフスタジアム(GS)が、ゴルフのレッスンプロや練習場オーナーらに、“実質無料”をうたって高額な練習用ソフトを購入させた後、実質無料の約束を突然、ほごにしたのである。

 購入契約者たちは3月に被害者の会を設立。会のアドバイザーを務める西村國彦弁護士によると、被害者数は約1400人にも上り、被害額は40億円以上と推測される。

 被害者の一人で、ゴルフのレッスン業を営むA氏を例に事の経緯をたどろう(下図参照)。

 A氏は当時、所属していた練習場が急に閉鎖され、レッスンの拠点を他に移したため、「レッスンの継続を何かしらの形で発信したい」と考えていた。そこにGSの営業マンが「あなたのホームページを無料で作成し、管理・運営もやります」と持ち掛けてきた。