ムダ3:叱咤激励
問題解決に結びつかない空虚な言葉

セールスフォース・ドットコムでなくなった叱咤激励のムダ

・失敗を隠そうとする行為
・モチベーション向上につながらない叱責
・部下からの「頑張ります」の言葉

「頑張ります」では何も変わらない

 上司から部下への叱咤激励は、企業内では多く見かける光景だ。いわゆる“アメとムチ”であり、それがやる気を刺激する側面もあるが、方向性を誤れば部下を萎縮させかねない。

 例えば「営業会議のムダ」の項で紹介した寺本氏の前職での営業会議。毎週営業の誰かが本部長から激しく叱責されるのが恒例行事になっていたため、なるべく本部長の逆鱗に触れないよう、前日に作戦会議を開いていたという。これでは重要な情報が上長に上がらない危険性もあり、叱咤激励が逆効果になってしまう。

 しかし、寺本氏はセールスフォース・ドットコムに転職して、そうした叱咤激励とは無縁の毎日を送っているという。「マネージャーとして、部下を叱ることがないわけではありません。しかしその場合は、目標を明確にし、いかにモチベーションを高めるかに留意します」と話す。

 例えば、部下が「1日のうちに新規顧客に10件電話営業する」という目標を掲げた場合。「10件営業したが、3件しか訪問のアポが取れなかった」という場合は叱らない。しかし「7件しか営業できなかった」という場合は厳しく注意するという。前者はプロセスの失敗なので、そこから何を学ぶかをアドバイスできる。しかし、後者は自ら実行すると約束したことを反故にしたことになる。

 こういった場合、Salesforce上で部下のその日の行動もすべて把握できるので、そこで確認した上で、社内コミュニケーションツールのChatterなどで、「なぜできなかったのか」「どうすればできるのか」を問う。これは部署内の同僚だけでなく、ほかの部署の人間も見ることができるため、叱責される側からするとかなりつらい。しかし、そこから別の効果も生まれる。

 鈴木氏は、マネージャーとなる前に、内勤・外勤両方の営業を経験しているが、内勤営業の時代に、Salesforce上で外勤営業の人間が上司から厳しく注意されているのをよく見ていたという。「そこから、どういうやり方がマズいのか、正しい方法とは何かを学ぶことができました」と語る。「冷酷に聞こえるかもしれませんが、部下の『頑張ります』というのもムダな情報です。どう頑張るのかを示さなければ、指示のしようもありません」と寺本氏。こうした空虚な言葉を極力排し、客観的な情報を基にコミュニケーションをとる、そして失敗までも共有して全員の財産にする、その基盤がSalesforceなのである。

Salesforceで変わるポイント
パイプラインで部下の進捗をフェーズ別に把握

各案件のフェーズごとの情報もマネージャーがチェックできるため、例えば、フェーズがアップされず、逆にダウンしていた場合には、すぐさまマネージャーからChatterで営業担当者に問い合わせが入ることになる。

 


ムダ4:何かを探す時間
「ない」と割り切ったほうが早い場合が多い

セールスフォース・ドットコムでなくなった何かを探す時間のムダ

・ほかの人に気を遣いながら尋ねる手間
・PCやサーバー中を探し回る手間
・探しものが「ない」と判明するまでの時間

蓄積するだけでなく、見つける仕組みが重要

 営業の仕事をしていると、過去に自分、あるいはほかの誰かがかかわったり、作成していたはずの“何か”を探すことが多くないだろうか。一番多いのは、自分が過去に作った企画書や見積書を再利用のために探す、というパターンだろう。それ以外にも例えば、過去に似たような業種・業態の顧客向けに誰かが作成したはずの提案書や、複雑な事情があって契約の前に処理が必要な顧客への対応策という例もあるだろう。「前の会社では、『○○という事例を担当された方はいませんか?』という問い合わせメールを、営業部全員に送ることがよくありました」と寺本氏は打ち明ける。「顔も知らない人も含めて送信するので、文章にかなり気を遣い、30分ぐらいかけて書き上げるのですが、1人でも返事があればラッキーなほう。誰からも返信がなくゼロからやらなければならず、結局時間のムダだった、ということがよくありました」。

 そうした事例も含め、ファイルをフォルダに分類して共有サーバーに保存するという方法をとっている会社もあるだろう。しかし、そこには大きな問題がある。サーバーに保存するのは結局個人個人なので、それぞれの判断で別の場所に保存されてしまえば、探し出すのは容易ではない。「前職で、古いお客様から『数年前に使ったバナー広告を再度使いたい』という問い合わせが入ったことがあります。Webプロモーション会社でしたからサイクルが早く、数年前では担当者も変わっていて共有フォルダを探しても見つからない。結局1時間近く探して、『ない』ということがわかったときはドッと疲れました」と鈴木氏。

 しかし、セールスフォース・ドットコムに転職して2人ともこうしたムダから解放されたという。Salesforceでは、個々人が作成したファイルを含め、営業に関する過去のすべての情報が蓄積されているため、検索をかけるだけで容易に見つけることができる。「自分が現在悩んでいる問題は、たいてい過去にも誰かが悩んでいるものです。転職して、その解決策に容易にたどり着ける仕組みを知ったときは、『この会社はとてつもない引き出しを持っている』と驚きました」と寺本氏は振り返る。“ナレッジを共有することによる生産性の向上”というテーマはかなり以前から叫ばれているが、それを円滑に実現できるツールが、Salesforceなのである。

Salesforceで変わるポイント
Chatterでの共有依頼で資料を収集

Chatterでテーマを伝え、関連部署に向けて資料共有依頼をかけると、過去に同テーマの経験がある担当者から続々と資料が集まる。