ブランド論で整理すると、
トヨタの住宅事業はブランド拡張戦略

 さて、このトヨタの住宅事業をブランド戦略の面から考えています。
マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーはその著書で、企業のブランド戦略を4つに分類しています。

トヨタの住宅事業に勝算あり――<br />ブランド拡張戦略で読み解くと

  4つのブランド戦略を図に表したものが上図です。タテ軸に「ブランド名」、ヨコ軸に「製品カテゴリー」という要因を置きます。

 タテ軸「ブランド名」は、新たに投入する製品名に既存ブランド名を使うのか、新しいブランド名を使うのかで分類します。

 ヨコ軸「製品カテゴリー」は、新たに投入する製品が既存カテゴリーに投入するのか、新しいカテゴリーに投入するのかで分類します。

トヨタの住宅事業に勝算あり――<br />ブランド拡張戦略で読み解くと

 4つのブランド戦略のうち、頻繁に行われているのが①ライン拡張です。同じブランド名の製品ラインナップを広げていく手法で、食品や飲料、タバコなどをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

 ②ブランド拡張も比較的多く見受けられます。具体的には、バッグからはじまったルイヴィトンが同じブランド名でシューズや時計に参入したり、武田薬品工業が錠剤のアリナミンAのブランドを活かして栄養ドリンクのアリナミンVを投入するケースなどです。

 トヨタが住宅事業で行ったブランド戦略は、既存ブランドを新たな製品カテゴリーに投入したので、②ブランド拡張にあたります。ブランド拡張にはアリナミンのように比較的近いカテゴリーへ投入するケースと、表にあるソニー、7&I、ワタミのように異業種へ投入する2つのケースがあります。トヨタの場合は、後者の異業種への投入です。