経営×物流

いまここにある”宅配危機”の裏側~アスクル倉庫火災

カーゴニュース記者座談会【3】

なぜ2週間も燃え続けたのか?

火災が起こる前のアスクル倉庫内(埼玉県三芳町)

A 2月に埼玉県で発生したアスクルの倉庫火災事故も大きな社会問題となった。一般消費者の目線で言えば、「なんで消火までこんなに時間がかかったのか?」という素朴な疑問があると思う。物流業界にも今後、様々な影響を及ぼす可能性があると思うが・・・。

D 消防庁からすると、これほどの大規模倉庫は消防法上の規制の想定外だったのではないか。従来、「大規模倉庫」といえばせいぜい延床面積5万平方㍍クラスだった。それが最近では、10~20万平方㍍の賃貸用大規模倉庫が続々と登場している。

 建物としての倉庫に対する現行の消防法上の規制が適正かどうか、実態に合っているかどうかを考えるべき時期にきているのではないだろうか。

E 今回、5万平方㍍以上の倉庫に監査が入っているのも、そうした理由かも知れない。消防庁としても現在の倉庫の大きさと法規制が想定していた倉庫のイメージとの乖離に驚いているかもしれないね。

 ただ、今回のケースでは、荷物が邪魔して防火シャッターが下りなかったということはあったにせよ、消防法的な基準はクリアしていたんだよね?

D 火災が起きた倉庫は元々、投資用物流不動産として建設された施設であり、当然、防火区画やシャッターの設置などの基準はクリアしていた。設備的には「適正」であったと考えていい。ただ、運用において「適正」であったかどうか・・・。

 アスクルの施設は「自家倉庫」として運用されており、営業倉庫のように倉庫管理主任者を配置していない。「自家倉庫」と「営業倉庫」とは違う、一緒にしないでくれということを国交省、日倉協とも暗に主張している。

 ただ、法的基準をクリアした施設でも、運用の仕方によっては火災などのリスクがあるということは、共通の問題としてとらえるべきだ。営業倉庫でも、荷物が増えてしまって防火シャッターの周囲に荷物が置かれているケースもゼロではないはずだ。

B アスクルの火災事故を受けた対策検討会が3月14日に開催された。検討会は消防庁と国交省の主催で、国交省は建築基準法を所管する住宅局の担当だ。

 国交省の物流部門もオブザーバーとして参加しているが、まずは火災原因の特定が急務であり、物流部門としてはその後に意見を出す機会があるというスタンスのようだ。検討会には日本倉庫協会もオブザーバーとして出席しており、「アスクルは自家倉庫であり、営業倉庫と安全基準などのとらえ方が違う」という話をしていた。

A 火災が起きた倉庫は、今はアスクルの自家倉庫だが、建物としては大型物流不動産施設と変わらないわけだよね。

C 日本の賃貸用物流施設は安定的な投資先として有望視されてきた。しかし、建築基準法に沿ってきちんと建てて、信用力のあるテナントが入居しても、運用によっては火災で施設が焼失してしまうリスクがあるということが今回露呈した。投資家やデベロッパーは今後、テナントクレジットに関して、施設で扱われる品物などのリスクを考慮するようになるのかもしれない。

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1969年10月の創刊から約40年間「経済の中の物流」という視点から一貫した報道を行っている物流業界専門紙。物流報道の中に“荷主”という切り口を持った媒体として評価されている。主な内容は荷主企業の物流動向、行政の物流関連動向、トラック、倉庫、鉄道、海運、航空など物流企業の最新動向、物流機器、WMSソフトなどの関連ニュース等。週2回発行。


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