くっきり明暗が分かれた
都心と郊外の強弱二極化

 従来のマンション市場は、初めて住宅を買う一次取得層(若いファミリー)を主要顧客としてきた。

 「ところが、郊外に多い中小企業勤務の一次取得層は、勤務先に業績回復感がなく、所得上昇も望めず、現在のマンション価格高騰を受け入れられません。どうしても元気の出ない郊外に対し、都心の好立地には“元気印”の人々が集まり、市場が二極化しています。こうした動きは15年ごろに始まり、昨年さらに強まりました」(久光氏)

 久光氏が挙げる“元気印”とは、年収1200万~1300万円クラスのアッパーサラリーマン、夫婦合算年収が2000万円を超えるパワーカップル、可処分所得が多い単身者、60歳以上のアクティブシニア、そして富裕層など。年齢にかかわらず精力的に仕事をする人が多いため、“元気印”は都心の好立地志向が強い。

 「強気の都心、弱気の郊外」という二極化は、供給戸数、販売価格のどちらを見ても顕著だ。もともと価格が安い郊外マンションは、買い手の意欲喪失を受け供給減。高価な都心マンションは買い手が元気で安定供給。相乗効果で平均価格は高値維持状態が続いてきたわけだが、そんな強弱二極の均衡も最近、ほころび始めた。

 「17年2月の首都圏新築マンション価格動向を見ると、東京23区のみ上昇しており、他のエリアは下がっています。23区をさらに見ていくと、都心部は高値が続いているが、周辺の城南や城西エリアは上昇が止まり、低い価格が出始めています。売れ行きを見ても、都心部のみが好調といえる状態にありましたが、それもだいぶトーンダウンしてきました。今後、かなり厳しい状況に陥る物件が出てくるかもしれません」(松田氏)

 値段相応に、購入者側の物件選別の目が厳しさを増してきている。

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