税制改正で相続税の課税対象者割合が急増した。不動産は評価によって価値が決まるからこそ、節税には生前対策が重要という衛藤重徳税理士にポイントを聞く。

評価で価値が決まる不動産の
相続には必ず生前対策を

eto"租税調査研究会 主任研究員
衛藤重徳 税理士

東京国税局査察部門で査察官、審理課長、総括課長などを歴任。品川・葛飾両税務署で署長を務め、2013年に退職、同年税理士登録。
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 2015年の税制改正で相続税課税対象者が急増した。国税庁によると、15年に亡くなった約129万人中、課税対象者は10万人強で前年までの約2倍。同年の相続財産構成は、「土地」「家屋」を合わせた不動産全体の割合が43.3%を占める。 

   人ごとではない「相続」だが、国税査察官や税務署長を務めた経歴を持つ衛藤重徳税理士は、「大切なのは生前対策。

 “争族”回避は当然のことだが、節税対策も、相続が発生してからでは手遅れ」と言う。特に、不動産の課税価格は“評価”に左右されるだけに、対策はしっかりと講じておきたい。

 一般的な市街地にある宅地用の土地には、路線価が相続税の算定に用いられる。路線価は不動産売買実勢価格の80%を目安に決められているが、標準的な宅地を想定した基準なので、土地の形状や隣接する施設などの要件に合わせて評価を補正する方法が採用されている。

 同様に、家屋の場合は、実勢価格の70%程度の固定資産税評価額が算定基準に用いられる(次のページの図参照)。