勇気を出して「鬼のような指値」をやってみよう
ただし、冷やかしでやってはいけない

「鬼のような指値」というのは、値引き交渉のことです。売主様にとっては鬼のように厳しい購入希望額を提示します。

 不動産投資の世界ではメジャーになっている言葉で「オニサシ」とも表現されます。

 ただし、仲間内でいっているだけで、実際の値引き交渉ではこの言葉は使いません。いわないことがマナーです。

 冗談で値引き交渉をしていると思われると、売主様に失礼ですし、不動産屋の営業マンも本気で交渉に付き合ってくれなくなるからです。

 最初に値引き交渉を行ったのは、農家の納屋を改造したような屋根の丸い住宅で、価格は180万円でした。

 会社の昼休みに不動産屋に電話をして、恐る恐る「100万円くらいなら購入したいですが……。値引きできますか?」といったのを覚えています。

 担当者からは「あなた、加藤さんの本の読者だね。加藤さんは電話だけで値引き交渉したりしないよ。実際に物件を見てから値引き交渉するんじゃないとダメです。云々……」というようなことをいわれ、すぐに電話を切られてしまいました。

 このとき初めて不動産投資の説教をいただきましたが、いまとなってはこの言葉に感謝しています。

「鬼のような指値」は、やはり実践あるのみです。

 経験数が少ないうちは、理論でどうのこうの考えてはダメです。

「鬼のような指値」が入る確率は、回数を重ねていくと上がりますが、その理由を考えると、物件検索の力量と関係があります。

 売出価格が物件の実力よりも高ければ「鬼のような指値」の成功率は上がりますが、指値をすることが目標ではないので、そればかりに目がいってしまうと意味のないことになりかねません。

 物件価格が実際よりも安い物件ですと、「鬼のような指値」はほとんど成功しないでしょう。

 この力量を高める方法は、ほかの大家さんの成功事例を見たり聞いたりするよりも、実際に緊迫感がある交渉を重ねることが重要です。