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岸博幸のクリエイティブ国富論

前原国交相の正しい暴走と亀井郵政・金融担当相の勘違い暴走

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第61回】 2009年10月23日
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 この1週間くらいの間に、民主党政権のプラス面とマイナス面が明確に出たにも関わらず、マスメディアがそのインプリケーションを正しく論評していないように思えます。そこで、今週はこの問題について解説させていただきます。

前原大臣の頑張り

 評価すべきプラスの面は、前原国土交通大臣の頑張りです。八ツ場ダムでもそうでしたが、羽田のハブ空港化についても、政治主導のトップダウンで大胆な政策転換を表明しており、政策決定の手法として民主党が目指す姿を体現していると評価すべきです。

 そこで同時に明らかになったのは、周りの利害関係者が政権交代の意味をまだ理解していない、ということです。例えば、羽田については森田千葉県知事などの地元関係者が大騒ぎしましたが、そこでの発言は、「話を聞いてない」、「地元の過去の経緯を無視している」といった類いのものばかりでした。

 しかし、こうした発言ほどレベルの低いものはないと思います。そういう言い方をする人たちは、まだ民主党政権になって1ヶ月しか経っていないのに、もう自民党政権時代のやり方(根回しや時間をかけた調整による利害関係者すべてに配慮した問題解決)が恋しくなっているとしか思えません。それが日本を弱くしたのであり、政権交代とはそうした昔ながらのやり方との訣別を意味しているのです。それを理解していれば、上記のような情けない発言とは違った言い方ができたはずです。八ツ場ダムについてもまったく同じことが言えると思います。

 要は、政権批判をする以前に、利害関係者がまだ政権交代の現実を理解できていないことが、前原大臣の決定に歯向かう人たちの言動から明らかになっているのです。それにも関わらず、官邸やメディアの人たちの間で、前原大臣批判の声が出始めていることが気になります。前原大臣は至極正しい行動をしているにも関わらず、政権交代の現実を理解しないダメな人たちの反対の声を気にするようでは、本末転倒になってしまうのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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