[東京 26日 ロイター] - 欧州の資産運用大手ドイチェ・アセット・マネジメントが24日、週末に行われたフランスの大統領選第1回投票の結果を受けて、欧州株式の投資スタンスを引き上げたことが分かった。ステファン・クロイツカンプ最高投資責任者(CIO)がロイターとのインタビューで明らかにした。

ドイチェ・アセット・マネジメントは、ドイツ銀行<DBKGn.DE>グループの資産運用部門で、本拠地はフランクフルト。昨年12月末の運用資産残高(AUM)は7060億ユーロ(約85兆円)。

インタビューは同氏が来日した25日に実施した。概要は以下の通り。

──先週末の仏大統領選第1回投票を受け、マーケットには安堵感が広がっているようだ。

「ポピュリズムの波が欧州各地に押し寄せていることは事実だが、フランスはまだポピュリスト勢力に権力の座を明け渡すつもりがないと示す結果だ。ユーロ圏には賢明な判断をする人々がまだ大勢いるということであり、喜ばしいニュースだ」

「われわれは開票結果が伝わった昨日、さっそく欧州株式に対する投資判断をニュートラル(中立的)からオーバーウエート(強気)に引き上げた」

「その理由は、(ともにEU離脱を掲げる極右ルペン氏と極左メランション氏の一騎打ちという)最も懸念された政治的テールリスクがいったん後退した。企業の業績モメンタムも上向いており、今期は2桁増益を見込んでいる」

「これに伴い、米国株式の投資判断はやや引き下げてアンダーウエート(弱気)とした。年初来リターンも十分な水準にあり、顧客のためいったん利益を確保することが適切だと判断した」

──欧州株で特に選好するセクターは。

「1つだけある。それは金融セクターだ。金融業界はこれまで長い間苦境に立たされてきた」

「われわれが属するドイツ銀行グループをはじめ、大規模な訴訟や再編(Restructurings)への対応もようやくひと段落し、いよいよ本業に専念できる態勢が整ってきた」

「また、欧州では引き続き超低金利環境が継続するとみられるなか、長い年限の金利は上昇し、イールドカーブがスティープ化すると予想している。こうしたことは明らかに金融機関の業績に追い風となる」

「こうした理由から、金融株は他のセクターと比較しても最も上昇余地があるとみている」

──米長期金利の見通しは。

「年末時点で3%、つまり足元の水準から60ベーシス(ポイント)程度の上昇をみている」

「われわれは米連邦準備理事会(FRB)は金利を一段と引き上げると予想しており、年内は(3月の追加利上げに続いて)あと2回、来年は3回の利上げが実施されると予想している」

──為替の見通しについて。

「ドル相場については、中央銀行の金融政策やトランプ政権が財政刺激策を打ち出す可能性があることなどを踏まえ、強気なスタンスを維持している。すでに一定の上昇はみられたが、もう一段の上昇余地があると考えている」

「ユーロ相場については、選挙結果を受けて上昇したが、一時的な反応にすぎないとの見方だ。われわれは依然として、米・欧金利差の拡大が主な要因となり、ユーロ/ドル<EUR=>は(25日現在の1.08台から)年末までにパリティ(等価)に達するとの従来予想を断念していない。ただし短期的には、1.10ドル程度まで強含む可能性もある」

「ドル/円<JPY=>は(25日現在の1ドル=110円から)年末までに120円に上昇すると予想する。こちらも日・米金利差の拡大が背景となろう」

──日本株について。

「オーバーウエートしてはいないが、魅力はある」

「今年に入って足踏み状態にあるが、それは外部要因の影響であり、日本経済に問題があるわけではない」

「日本円は、金と並んで、地政学リスクが高まる局面でリスクヘッジのため買われやすい。前述のようにわれわれは年末にかけては円安が進行すると見込んでおり、そうなれば日本株には輸出企業などを中心に追い風となる」

「だが世界を見渡せば、目下、シリアやウクライナ、北朝鮮などの地政学的状況があり、目先はリスクヘッジの円買いのアンワインド(巻き戻し)は起きないだろう」

「コーポレートガバナンスの強化や株主還元重視といった最近の流れは好ましい」

(インタビュアー:植竹知子 編集:内田慎一)