日本への関心急降下

 昨今の日本政治を世界がどう見ているのか?海外にいる我々に日本国内からよく投げかけられる質問だ。

 私の実感は「誰も何とも思っていない」というものだ。これには二つの意味がある。一つはよく言われている通り、日本への関心が風前の灯なのだ。二つ目は世界で大きな変化がたくさん起きている。欧州そしてアメリカ経済財政問題、リビア、イスラエルに中心が移りつつある中東情勢。史上最も緊密に連携する世界経済にインパクトを与えるイベントが次々起こっている。残念ながら、日本の震災情報もほとんど海外メディアに載らなくなっている。

 日本の政治をフォローしているのは日本専門家と言われる人たちくらいだが、その数も急減している。「日本政治専門」で雇用してくれる大学や研究機関はほとんどない。一方、中国や韓国は、経済や政治や外交の問題で日本よりアメリカで注目を集めており、それに加えて、国家が大学や研究機関に寄付をして講座を作らせている。そこで中国や韓国の専門家の雇用が生まれている。日本は政府も企業もそのような支援を減らす一方で、日本専門家はますます肩身が狭くなっている。

 首相がコロコロ変わり、不信任案で与党が分裂寸前になりながら直前の不可思議な首相の表明で事態が収束したようなしないような、今の複雑な日本政治を正確に論評できる人は海外には非常に少ない。

ジャパン・アズ・ナンバーワン

 ということで、数少ない日本専門家の代表的存在である、ハーバードで私が師と仰ぐエズラ・ヴォーゲル教授に聞いてみた。ヴォーゲル先生は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」というベストセラーの執筆者としても高名である。ハーバード、いやアメリカでも数少ない日本の応援団である。ヴォーゲル先生の結論は、問題はリーダー育成とそれを登用する仕組みにあるということだ。